袋井市内の介護施設で働くクニヨシ オオシロ パオラ マリエさん(ペルー出身 50代)
2024年11月01日
袋井市内の介護施設で働くクニヨシ オオシロ パオラ マリエさん(ペルー出身 50代)
近年、介護施設で働く職員の中で外国人が増えている傾向にあると言われています。
今回は袋井国際交流協会から、市内にある介護施設「ふくろいあんしん館/デイサービスまなまな」で介護職員として働いている、クニヨシ オオシロ パオラ マリエさん(以下 マリエさん)を紹介していただきました。
来日してから、介護の仕事に就くまでのことをお聞かせ下さい
2000年11月に来日し、車の部品工場、お弁当屋さん、肉や野菜の工場でのパック詰め作業など色々な仕事をしてきました。2020年に市内にある別の介護施設で介護の仕事の手伝いをしていました。その間、協会で開かれる「日本語サロン」で日本人と交流したり、協会のボランティア活動にも積極的に参加しながら日本語を覚えていきました。
より専門的な介護の知識を学ぶため、3か月間、浜松市内にある専門機関「介護・看護、求人支援センター浜松」に通って「初任者研修終了証」を取得し、去年の11月からこの施設で働いています。
どんな仕事を担当されていますか
私はこの施設で、月曜日から金曜日まで、デイサービスに通ってくる利用者さんと一緒に過ごしています。椅子に座ったまま出来るゲームをしたり、美空ひばりさんの歌や「長崎の鐘」「瀬戸の花嫁」など、懐かしい歌を歌ったり、入浴時の介助をしたり、時には近い距離から通ってくる利用者さんと一緒に歩きながらの送迎をすることもあります。
日々の様子をもう少し詳しくお聞かせ下さい
私はペルーで幼稚園の先生をしていました。リコーダーを吹いたり、折り紙が好きで鶴を折ったりも出来ます。利用者さんと歌を歌ったりゲームをしたりしていると、あの頃の小さい子が成長して大人になった姿を見ているような気持ちになったりすることがあります。
利用者さんとは日本語での会話を心掛け、なるべくスマホの翻訳機能を使わないようにしています。それでコミュニケーションは取れているのでそんなに困ることはありませんが、それでも時々答えられない言葉が出てきます。その時はスマホの画面に記してあるこの言葉〈私の心はペルーにありますが、私の仕事は日本にあります〉を読んでもらいます。
それで私がペルー人だと分かって、やさしい日本語に置き換えて話してくれる方もいます。
この施設の執行役員、川島カヨ子様から一言
当施設には多国籍の介護職員が働いています。今はまだ外国人の利用者さんはいませんが、この先増えてくることも考えられます。会話の中で細かいニュアンスまでは分からなかったり、伝わらない場面が出てきたりした時に、マリエさんのような人がいてくれるととても助かります。これからは、こういう施設でいろいろな国の人が働ける環境を作っていくことが大切だと感じています。
取材を終えて
〈私の心はペルーにありますが、私の仕事は日本にあります〉
マリエさんは、ペルーに住んでいるお母さんや親族の皆さんのことを大切に思う気持ちをスマホの画面にこう記して、今も毎日、ペルーに住んでいるお母さんに電話をかけているそうです。スマホの画面に記された言葉を見ながら涙ぐんでいた姿に、日本とペルーの遠く離れた距離を思わずにはいられませんでした。これからも自分自身の為に、お母さんの為に、利用者さんのために、どうぞお元気で。
記:編集ボランティア 齊藤淑子