ダラフさん (タイ王国出身 26才)
2024年09月05日
タイ王国は日本人にとってなじみのある国の一つで、静岡市でも江戸時代前期にシャム(現在のタイ)で活躍した山田長政ゆかりの「長政まつり」が行われています。東南アジアでは唯一植民地として他国の支配を受けずに、長い王朝の歴史を持ち、国民の95%が仏教徒であるといいます。その国の若者で、現在日本で働いているダラフさんをインタビューしました。
タイでは、人の名前が長い傾向にあるので、ほとんどの人が日常生活では本名ではなく、ニックネームを使います。家族や友達はもちろん、公式な場面以外では職場や学校でも上下関係なくニックネームで呼び合います。ダラフさんも正式名は「ナタパット・プロンペット」というのだそうです。
日本企業に就職したきっかけは何ですか?
大学時代、トヨタやホンダにあこがれ、車関連の仕事に就きたいと思っていましたので、バンコクにある「泰日工業大学」※を卒業して、静岡市にある自動車関連の企業で設計に携わるデスクワークをしています。
職場はどうですか?
2年間経験を積んだので、何をやるのか分かりそんなに困ったことはありません。問題があっても大方は自分で解決できるようになりました。新人が4人入り、サポートしてくれて、彼らに仕事を割り振ったりもしています。職場から毎日大好きな富士山が見えて、うれしいです。タイでは残業が余りなく、ほとんど定時に帰りますが、日本の職場は残業が多く、会議も多いですね。
タイでは仕事の後よく飲みに行ったり、旅行をしたりして友達になりますが、日本人は職場の人とはそんなに親しい関係にはならないのでしょうか。残業のせいかもしれませんが仕事が終わるとすぐ別々に家に帰って行きます。
言葉は大丈夫ですか?
日本語は大学1年の時から習い始めました。大学の4年間では、エンジニアとしての技術と知識はしっかり学びましたが、日本語の授業は一週間に一時間だけだったため、卒業時にはカタカナと平仮名しか読めなくて、とてもシンプルな会話がやっとできる程度でした。日本に来て6ヶ月たった頃から聞き取れるようになり、簡単な言葉だけしゃべれるようになりました。一年たつと、かなりスムーズにしゃべれるようになりました。
職場では、最初日本語が出来ない時は英語を使っていました。周りの人々は読めて書けるのですが、英会話の方はあまり得意ではないようで、大変でした。時々日本人の英語の発音を聞き取るのに難しいことがありました。
日本での生活はどうですか?
平日は仕事の後にジムに行っています。土日は、ほとんど外出します。アクティビティが好きで友達を誘ってお祭り、イベント、旅行に出かけます。先日、知人の紹介でシラス漁に乗船したのですが、本当に楽しくて、獲ったばかりの新鮮なシラスがとてもおいしかったです。
現場で働いている4人のタイ人と知り合いになり、彼らとはタイ語で思いっきり会話ができるので、かなり言葉のストレス解消になっています。日本人と友達になるのは、まだなかなか難しいです。時々、外国が好きではない人が多いのかなと思うことがあったり、言葉も文化も違うので、今のところ壁を感じてしまうことがあります。でも、道も川も海も日本はどこもきれい。オンラインで毎日両親とも話をしているので、寂しくもありまません。
これからも日本に住みたいと言うダラフさんは、多少の苦労はあるでしょうが、エンジニアとして日本の会社で順調に働いているようです。徐々に友達を増やして、日本での生活をこれまで以上に充実させてくださいね。
※泰日工業大学
2007年に首都バンコクに設立された私立大学で「日本型ものづくり」の考え方を土台として、タイと日本の友好と、タイ産業界の人材育成を目指しています。
記 編集ボランティア 川島 康子