ディエラ フォルトゥーナ リヤディ さん(27才) インドネシア出身
2023年04月03日
ディエラ フォルトゥーナ リヤディ さん(27才) インドネシア出身
2021年11月から静岡県庁の多文化共生課で働いている、インドネシア出身のディエラさんを紹介します。勉学を通して完璧ともいえる日本語を身に付け、家族から離れて他国で働く意志の強さはどこから来るのかしらと思わせるほどしとやかで、しなやかな女性です。
アニメが私と日本の最初の出会いです
子供の頃、テレビで日本のアニメを見ていた影響もあって、高校では第3外国語として日本語を選択しました。高校で勉強した日本語はとても面白かったので、さらに勉強したいと思い、大学では日本語学部で学ぶことに決めました。2年生の時に、日本の文科省が日本語を学びたいと思っている海外の学生に、1年間滞在の奨学金を給付するというプログラムを知り、その奨学金を得て、2016年9月から2017年7月まで、慶應義塾大学で学びました。帰国して、大学卒業後は、1年半ぐらいインドネシアにある日系企業に勤めた後、JETプログラムに応募して日本に来ました。
国際交流員として楽しく働いています
主に県内に住んでいる外国人にフェイスブックを使いインドネシア語で情報を提供しています。西ジャワ州は静岡県と友好提携を結んでいますので、政府関係者、経済人、研修員たちが日本に来た時は、接待や通訳をします。職場は楽しく、日本で働くことの不安が消えました。皆がフレンドリーで優しくて、ありがたいです。
また、イベントや小、中、高の学校に「出前教室」をして、自国の文化を紹介しています。最近はこの西ジャワ州の伝統的な楽器のアンクルン(写真)を手に入れて、文化を紹介する時に見せています。竹から作られるもので、下の竹筒を横に振って音を出します。同じ形をした大小8個がⅠセットです。ちょうどハンドベルと同じように、1楽器1音しか出せないので、一度に8個全部を使わないと演奏ができません。いつか日本人と一緒にこの楽器で演奏してみたいと思います。
私と同じ立場のベトナム出身の女性ホンさんと、月に1回県庁の会議室で、昼休みを利用して30分間、ベトナムとインドネシアを紹介する講座を開いています。多文化共生課以外の人たちも、興味を持って大勢参加してくれて、とても楽しいです。
伝統の飲み方の教え
去年の10月、「世界お茶祭り」というイベントが開催され、その会場で氷砂糖を入れるジャスミン茶の伝統的な飲み方を実演しました。氷砂糖を入れることによって、そのお茶が「人生の意味」を教えてくれると言われています。氷砂糖が余り解けていない状態で飲むとまだ苦く、溶け始めて甘くなっていきます。苦みの後においしさが味わえる。人生もつらい時を過ごした後に、幸せがやって来るということです。このお茶の紹介は好評で、とてもうれしい経験でした。
どうしてそんなに日本語が上手なのですか?
大学時代、留学の奨学金の試験に受かるために、必死で勉強をしました。大学では一人でも多くの学生が受かるようにと先生たちが、合格を目指すための講座を開いてくれ、4~5ヶ月は、日本語の勉強に没頭しました。とにかく毎日毎日、休日でも、他の生徒が休んでいる時も、ずっと勉強し続けました。毎日小テストがあり、しっかり勉強したかのチェックありました。同じ目標を目指す友達といろいろ影響しあって日本語のスキルを磨きました。
ヒジャブ(スカーフに)ついて
ヒジャブをかぶるタイミング、きっかけ、年齢は人それぞれ違いますが、私は大学2年までかぶってはいませんでした。心の準備が十分できるのを待って、かぶりました。きっかけは大学生の時父が亡くなり、母が「そろそろヒジャブを身に付けなくてはいけない時ですよ。もし亡くなったお父さんが今のディエラを見たら悲しむよ。」の言葉でした。心の整理ができるのを待っていたのです。最初は「いつもの自分と違う」と感じた時期もありましたが、「自分が決めたことだから、やるしかない」と思いました。その後はだんだん慣れてきて今は逆にヒジャブを付けなくて外出するのは考えられないことです。日本では、学生がアルバイトをしたい時、ヒジャブをかぶっていると、なかなか採用されるのが難しいことがあると耳にします。それも少しずつ理解される方向へとは変わっているようです。
ずっと日本に住みたいです
日本に興味のあるインドネシア人のために、私はここで頑張ります。インドネシアの人には、富士山や御殿場のアウトレットだけでなく、安全で住み易い静岡県のことをもっと知ってもらい、その存在を広めたいです。県庁での契約は最長5年ですが、その後は、できれば日本でずっと働きたいと思っています。
記:編集ボランティア 川島 康子