チアゴ・フェルナンドさん(ブラジル・ミナス州出身)

2020年03月01日

 

ブラジル・ミナス州出身のチアゴ・フェルナンドさんは、日本に留学した1年のほかに今回静岡県の国際交流員として2度目の来日をし、10か月になります。
母国語であるポルトガル語、 日本語、英語、スペイン語、フランス語、ヘブライ語の6か国語を話す国際人であるチアゴさんは日本語を自由に使いこなし、すっかり静岡人として、もう何年間も静岡に住んでいるかのようなブラジル人です。

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日本に来たきっかけは?

子供のころ、アニメの『聖闘士星矢』(セイントセイヤ)をテレビで見ていました。
あるとき公務員であった父は出張のみやげとして、そのキャラクターのモデルを買ってきてくれました。そこにはなにやら、まったくわからない言葉での説明書が添えてありました。
それは日本から輸入されたモデルで、日本語で説明が書いてあることが後でわかりました。それがきっかけで日本に興味を持ち、日本語を勉強し始めました。
日本語を勉強したことが役に立ち、ブラジルの首都ブラジリアの日本大使館で働く機会に恵まれました。

日本に来る前の日本のイメージ、その後の実際のイメージはどのように変わりましたか?

日本は工業が発展していて、独自の伝統、文化があり社会の規律ということが行き届いているということは知っていましたが、日本における、部活、掃除、約束、時間を守る・・・・など細かな点まできめ細かく規律をもってやっていることを改めて実感しました。
それは長い間の伝統・文化の表れであり、いいことだと思います。

ブラジルにはブラジルの考え方があって、生活するうえで困ることはありますか?

例えば、日本人は列をきちんと作って並びます。 ブラジルでは、列を作って並ぶことはあまりしません。 列の長い後ろにならんで、順番にサービスを受けるということは日本では当たり前のこととして誰もが受け入れています。ところがブラジルではどうしたら早くサービスを受けられるかそれぞれが考えます。そして、早くサ-ビスを受けられた人が、早く出世していくという文化です。
少し誤解があるかもしれませんが、ルールで順番を決めるというよりも、どのようにしたら、早くサービスを受けられるか、それによってその人の能力が図られるという面があります。日本人からみたら,おかしいと思うでしょう。 それが、伝統や文化の違いが現れるところです。

チアゴさんは、多文化共生課という部署に所属していますね。なぜ、多文化の共生が必要なんでしょうか?

多文化共生ということ、多文化を理解することはそんなに簡単ではないということを意味しています。 その国に長く住んでいれば、まわりの人が思うこと、考えていることが雰囲気として理解できます。 しかし,異なった背景を持った人には理解はしても受け入れることはむずかしくなります。
異なった考えを理解し、受け入れることはそれほど簡単ではありません。
日本で建前と本音とぃう言葉があります。 これはおそらく、日本独特のものかもしれません。 言っていることと,実際の気持ちが異なる。そこには伝統・文化の背景があるからです。
グローバル化により、世界は人、モノ、情報などさまざまなかたちでつながっています。 相互の関係をスムーズに行っていくためには、ルールが必要ですが、ルールがあればうまくいくというものでもありません。 異なったものを受け入れられることが必要です。
世の中の発展の仕方は、その違いの中から発展が促進されるといくと思います。
政治的・社会的な意見の違いを調整することや、科学技術の異なった視点からのアプローチなど、それらは同質な人々の中だけでは生まれにくく、また遅れてしまいがちになります。

チアゴさんは自分の将来にどういう展望をもっておられますか?

日本には私のような人間には様々なところで働くチャンスがあると感じています。 
日本は様々な働くチャンスがありますし、社会がそのような仕組みになっていることはすばらしいことです。日本といってもさまざまな側面があります。地方はいろんなかたちで、特色を出しています。そのような地方の発展から、国全体が発展していくという可能性がいっぱいあると思います。

ありがとうございました。 大いに日本で活躍してくれることを願っております。

記:編集ボランティア 池田 昌弘