横田広和さん

2023年09月01日

横田広和さん

吉田町川尻にフィリピンをはじめ、べトナム・ミャンマーなど東南アジアの外国の野菜を栽培している人がいると聞き、その農園を訪ねてみました。そこは600坪以上もある広々とした農園でした。

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表通りからはすぐには見えないけれど、農作業場の向こうに、青々とした背の高いバナナの木や、普段あまり見かけないいろいろな野菜が、刺すような真夏の日差しを浴びて、元気よく育っている畑が広がっていました。「これがサヨーテ、向こうがカラマンシー(四季橘)、マルンガイ、カンコン(空芯菜)、シンカマス(葛イモ)、ローゼル、、、」と横田さんが畝の間を歩きながらたくさんの聞き慣れない野菜の説明してくれます。うだるような日差しの中、土のにおいに混じってかすかに野菜たちのにおいも漂ってきます。黒いスイカ(フィリピン固定種)も転がっています。バナナの木のアーチを通り抜ける時は、一瞬、南国の植物園にいるような感に捉われました。ここには7種類のバナナの木が植わっているそうです。バナナの葉を欲しがる人がいて、敷いたり包んだりするのに使うそうで、種類によっては果実だけでなく茎の柔らかい芯も食べるそうです。

横田さんは現在60才。5年前体を壊し、長年勤めた電子機器関係の会社を退職してから、前々(40代前半)から少しずつ育てていたフィリピンの野菜作りに時間をかけられるようになりました。外国の野菜作りのきっかけは、奥さんのマルリンさん(フィリピン・ヌエバエシハ出身)が自国の野菜を食べたいと言ったからです。

最初、フィリピン人の間では非常に人気のあるサヨーテを作ってみたところ、大成功
でした。(サヨーテは隼人瓜と呼ばれ、日本のごく一部の地域を除いて一般的な野菜ではありません)この成功に気を良くして他の種類や他の国の野菜も次々と植えることになりました。カラマンシーは、スダチを小さくしたような柑橘で、焼き魚、サラダ、焼きそば(ビーフン)、ラーメンなど、なんにでもかけて食べられます。18年ぐらい前に、実から取り出した種をまいて育てました。今では背丈をはるかに超える立派な木に育って、1本の木で約5,000個の実をつけています。

外国の野菜ということでさぞかし苦労や工夫をされたことと思い、尋ねてみると、「吉田の気候は、極端に暑くもなく、冬も零度以下にはならないので、一般の野菜と同様、連作を避け、種まきの時期を見て、各々の野菜の性質に沿った手入れをすればいいだけ」ということでした。

ここで採れた野菜は、一般の市場には出回っておらず、故国の味が恋しい外国人が、手に入りにくい食材を求めて買いに来ています。自国では安く手に入る野菜が、日本では手に入りにくく、お店で売っていてもとても高いので、ここの野菜を欲しがる外国人は多いということです。種や資材・肥料・管理費などの経費でほとんど利益はありませんが、「日本で生活する外国人たちの食支援となれば」という思いで作っているそうです。近くの駐車場に無人販売所も設けてあります。
                            
横田さんの野菜の写真はFacebook でも見られます。

記:編集ボランティア 川島 康子