石本さんご夫妻

2024年02月01日

石本さんご夫妻

袋井国際交流協会から、市内で色々な野菜を育てているブラジル出身のご夫妻を紹介していただきました。のどかな田園地帯が広がる浅羽・梅山地区にある温室の入り口に立てられた「ふぁみりあ農園」の看板を目印に訪ねてきました。

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出迎えてくれたのは石本英士さん・末子さん夫妻と、仕事のお仲間である庄山茂さん。

石本さん夫妻は共にブラジル生まれで、1990年に来日し2019年に日本に帰化しました。自宅は市内の別の所にありますが、1年前、ここ梅山地区のメロン農家さんが栽培を止めた為使われなくなった温室5棟を借り受け野菜類を栽培してきました。温室の隣には野菜の販売所があって、土・日曜日に末子さんがお客さんとの会話を楽しみながら販売を担当しています。特にブラジル出身者にはこの辺では手に入りにくい野菜類が人気のようで、 この日も沢山のお客さんが買い物に見えていました。

今、石本さんが庄山さんと一緒に本格的に取り組んでいるのはタピオカの原料であるキャッサバの栽培とのこと。お2人がキャッサバ栽培に取り組んだ経緯やこれからの思いについて伺いました。

石本さん夫妻と庄山さんが出会ったのは来日して少し経った頃。市内の別々の会社に勤務していましたが、たまたま社宅が隣り合わせだったことで仲良くなり、以来、庄山さんの奥さんに子育ての面で色々と助けてもらったり、庄山さんは石本さんのお宅でのバーベキューに誘われたりと、お付き合いがどんどん深まっていきました。

庄山さんは石本さんのお宅で初めてキャッサバ料理を食べた時、そのおいしさにびっくりしたとのこと。石本さんはその頃既に、近所のお宅の空いていた畑を借りてキャッサバを作っていたのです。そんな経緯もあって、お互いに退職の時期を迎えた頃、これからは一緒にキャッサバ栽培に取り組もうという気持ちになっていました。

本格的にキャッサバを栽培するに当たって、2人はインターネットで栽培の知識を集めたり栽培農家を訪ねたりと試行錯誤を重ねながら、3年前に森町で8棟の温室と市内の数か所に畑を借りキャッサバ栽培をスタートさせました。温室で育てた苗を畑に植え付けていくのですが、最初の年は苗100本からスタートしたのが、今では2400坪の畑に植える分2200本の他に、販売用として約1万本の苗を育てています。キャッサバの苗は成長が早く、畑に植え付けてから約半年後に収穫出来ます。

収穫したキャッサバは、主にインターネットで注文を受け、直売や県内外へ発送しています。今はブラジル出身者からの注文が多いですが、これからは地元の人にもこのキャッサバのことを知ってもらい、料理法を覚えてもらってどんどん食べてほしいし、将来は学校給食の献立にも加えてほしいという思いもあって、最近はFacebookなどで情報発信に力を入れています。

「キャッサバには幾つか品種がありますが、私たちが栽培しているキャッサバは皮をむいて柔らかく茹でるか蒸した後、ジャガイモと同じように煮ものや、揚げものにするとおいしいですよ。出来ればこれからも、使われていない畑を借りて他の作物も作ってみたいんだよね。まぁボチボチだけどね」帰り際に石本さんが言った言葉が印象的でした。

その後もたびたび農園を訪ねましたが、入れ替り立ち替り、買い物にみえたお客さんと笑顔で接しているお2人の姿からこの農園の人気ぶりが窺えました。石本さん夫妻、庄山さん、お仲間の皆さんの夢はこの先もまだまだ広がっていくことでしょう。

 

記:編集ボランティア 齊藤 淑子