インドネシア食材店を起業しました!!

2024年05月02日

インドネシア食材店を起業しました!! jumadiさん、viviさんご夫妻(インドネシア出身)

今回は、「日本でお店を開こう」という二人の夢を、20年かけて実現した夫婦のお話です。
インドネシアを中心に、ベトナム、タイなどアジアの食材を販売するお店は、nusantara halal shop(ヌサンタラ ハラル ショップ)といい、2021年藤枝市大東町にオープンしました。
藤枝市、焼津市に住むアジアの人たちに母国の食材を販売するほか、onlineで全国から注文を受け、地方では手に入らない懐かしい母国の食材を北海道から九州まで届けているそうです。
経営者は経営者ビザを持つ旦那さんのjumadi(ジュマディ)さんで、奥さんのvivi(フィフィ)さんは会社を手伝うとともに、就業ビザを持ち他の会社でも働いているそうです。

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 外国の人が、事業所を構え500万円の資本金を用意し様々な資格を得て、経営者ビザを取得し起業するのは大変です。知識、努力、そしてお金が必要です。お店を開くまでの経過や準備、予想外の困難や失敗を聞いてみました。

 二人はバンドン大学の卒業生です。jumadiさんはドイツ語、viviさんは日本語を専攻しました。二人は大学の時から恋人同士で、「日本でお店を開こう」と夢を語り、大学卒業とともに準備を始めたそうです。

viviさんは2003年留学生として来日し、遅れること6年、2009年jumadiさんも来日します。「6年間遠距離恋愛でしたね」とからかっても、二人は揺らぎません。以来、二人はアルバイトでお金をためながら、食材店開店に向けて準備を進めます。この準備期間中、三人のお子さんが生まれます。女の子が欲しかったので三人になったそうです。

「働きながら子供を育て、開店準備に取り組む生活は大変でしたね。」と労うと、子供を育てながら生活することよりも、お店を開く準備、特にjumadiさんが「経営者ビザ」を取得するまでや、開店直前の準備は本当に大変だったそうです。

 経営者ビザを取得するためには、事業所を持つこと、500万円以上の資本があること等が必要ですが、二人はもう一人の友人とともに何とか500万円を作りjumadiさんの経営者ビザ獲得を実現します。ところが開店に向けて母国から取り寄せた食材の多くが、食品添加物が原因で日本の検疫所を通らなかっただけでなく、その廃棄処理費用として資本金の何割にも相当する金額を請求されたそうです。「十分な準備をしたつもりでしたが、日本の食品衛生法のことまでは手が回りませんでした。インドネシアで普通に使用している馴染み深い食材でしたから」。その時の衝撃を話すviviさんは辛そうでした。いまでは、日本の法規に抵触しない食材を東京や名古屋の貿易商から安定的に入手しているそうです。また、輸入される食材も進化していて、「パンダンリーフ、レモングラス、ガランガル」等、インドネシア人になじみの食材が冷凍でお店に並べられるようになったと喜んでいました。

 心温まる笑顔を終始浮かべて話してくれるviviさん、誇ることもなく嘆くこともなく私の目を見て淡々と話すjumadiさん二人は、東北の詩人が「雨ニモマケズ、風ニモマケズ…」と讃えた人たちの高学歴版だなと思いました。豊かな静岡を築く一員です

記:編集ボランティア 杉山 滋敏