日本の生活にとても満足しています
2019年12月01日
李 国鋒(リ グォフォン)さん 中国山西省忻州(シンヂョウ)出身 48歳
御殿場にあるリゾートのレストランで働く李さん。日本人の奥様とともに三島市に住み、静岡の生活を心から楽しんでいます。流ちょうな日本語で静岡大好きと語る李さんに日本に来た経緯や奥様との出会いなどのお話を伺いました。
日本には親しみと安心感
出身地の忻州という地域は、北京の南西部に位置する山西省の北部にあり、山間部とまではいかないもののかなり内陸で、自然豊かといえば聞こえはいいですが、春には日本にも影響を及ぼす黄砂の舞う地域です。漠然とですが、若いころから、外国で働くことに憧れがあり、省の外事弁に勤めていた叔父から日本の日本語学校を紹介され、決心して日本にやってきました。欧米などより距離が近く、似たような人種という意味で、日本には親しみと安心感があって、何かの御縁だと思いました。
この日本語学校で2年間、日本語の基礎、文法などを、外国人向けに日本語を教えることを専門にしている先生から学びました。基礎を学べたことはすごくためになり、今の私の日本語のベースになったことは間違いありませんが、生きた日本語という意味では、社会に出てからの日常会話で教わったことのほうが、さらに効果があったように思います。
一度中国に戻ったが、日本を忘れられず・・・
卒業後、情報系の専門学校に入りましたが、中国の家の事情があって、途中で、帰国しました。家に戻っても、日本のことは常に頭の中にあって、中国、日本双方の留学や就職などの情報が掲載されているSNSを見ていました。日本人でも中国に興味のある人は良く見ているようで、静岡県の職員で学校の事務職に勤める傍ら、中国語を勉強していた女性とサイトを通じて知り合い、その後、2006年に結婚しました。
再び日本へ
実家の祖母が亡くなり、世話をしていた父も、私の幼少のころ亡くなった母のもとへ逝ってしまい、兄弟も独立していたので、再び決心して、2007年に妻の実家のある三島に引っ越してきました。
三島に引っ越し、求人情報から、御殿場にあるリゾートのレストランの調理の職を得、今に至っています。最初の情報系とは180度違った職種ですが、中国に戻った時に修得した料理のスキルが役立ったようです。もっとも、今のレストランは、中華ではありませんので、洋食も和食も、なんでも手掛けています。
もう長い間日本に住んでいるので慣れてしまいましたが、当初は、日本人はきちんとルールを守ることに本当に感心しました。中国人は、おおざっぱでおおらか(悪く言えばいい加減)なので、日本人のきちんとしたところはびっくりしました。すべてに清潔なこともすごいです。
日本で生活していて困ったことは、私自身はあまりありませんが、中国人の友人間のネットワークで見ると、どうも、役所の敷居が高いようです。中国では役所(役人)というと、ちょっと遠い場所(人)というイメージなので、日本にいても、役所は近寄りがたい場所に思えるのです。実際に行ってみれば、日本の役所は友好的でとても親切なのですが。役所からの情報の発信は沢山あるのでしょうが、受ける側がどうやって情報を入手できるかがわかっていないように思います。もっと気軽に役所と付き合えるように、双方がもう少し努力する必要があるかもしれません。
静岡の生活にとても満足、ずっと暮らしたい
静岡県は自然が多く、山ばかりでなく海もある。日本に来るまで見たこともなかった海がそばにあるのは素晴らしい。水も、食材もおいしい。最初はちょっと抵抗があった生ものも、今では大好きです。普段の休みは家でゴロゴロしていますが、時には釣りにも行きます。妻と世界遺産を見に行ったりもします。
私は、今の三島での生活にとても満足しています。友達付き合いが大好きなので、三島や静岡の人たちと楽しく付き合って毎日が過ごせれば本当に幸せです。長い間暮らしてきて、中国よりも静岡のほうが居心地がよくなってしまい、ここで、ずっと暮らしていきたいと思っています。
記:編集ボランティア 金子 諭