“かめりあ“ 相談員 全 高香さん
2019年11月01日
全 高香さん
静岡県多文化共生総合相談センター “かめりあ” は困っている外国人が相談するところとして、水の森ビル2階の静岡県国際交流協会にあります。
今回は相談員の一人、在日韓国人の全さんにお話を伺いました。
夫の仕事の関係で、下の子を生んですぐに静岡市に引っ越してきました。今年で静岡在住18年になります。出身の東京の高校を卒業するまで親元で暮らしていた18年と同じ年数を静岡で暮らしてきたのかと思うと、とても感慨深いものがあります。日本で高校を卒業したあと、韓国に渡り、母国就学生として語学学校、大学と通い、仕事と合わせて約7年間滞在しました。そこで知り合った同じ在日韓国人と日本に戻り、結婚して現在子供二人の四人家族です。
7月から始まった「かめりあ外国人相談センター」で韓国語を担当していますが、実はまだ韓国の方たちからの相談は1件もありません。
現在静岡には、戦前から日本で暮らしている在日韓国人と、8,90年代以降に来日した韓国出身の方たちが住んでいます。私と同じ在日韓国人は日本語Onlyで生活している方たちがほとんどで、また、韓国出身の方たちもコミュニティーがあり、皆さん日本語も上手なので日本社会にしっかりと適応されているのではないかと思います。
静岡の誇る富士山や温泉、また新鮮な魚介類は、韓国人にも人気があり、東京に近いこともあって、年々観光地としての静岡の人気も上がってきていると聞いています。それこそ今年7月には、世界的に人気を集めるK-POPグループBTSがワールドツアー最終地として、エコパアリーナでコンサートを行なった際、日本のファンばかりではなく、韓国や中国からもたくさんのファンが静岡に集まったそうです。
最近は観光に訪れる韓国人も増えているので、観光で訪れた際災害に遭遇した、といった緊急時の相談役に「かめりあ」がお役に立てるようになればいいなと思います。地震がほとんどない韓国では、地震に対する恐怖もさることながら、外国で被災した場合の不安も大きいと思うので、そういった事も含め、韓国語で対応しながら、様々な防災の知識などもお伝えできるよう、現在私自身も勉強中です。今年の8月には県庁での防災訓練に参加して、電話やタブレットを使い、韓国からの観光客による被災相談のシミュレーションなどの訓練もしました。
私自身も学んだ韓国語になりますが、その経験を活かして学校で韓国語を教えています。現在の日韓関係は最悪な状態だと言われていますが、両国の若い人たちの韓国好き、日本好きにはとても救われ、そして安心させられることが多いです。講義室で会う学生さんたちは、日韓をまたいで、友人同士行き来しながら交流を楽しんでいるようです。
世界にルーツを持つ他のメンバーたちと、共通の日本語で、互いに知恵を出し合い、学びながら「かめりあ」のお仕事ができること、とても感謝しています。これからも大事にしていきたいと思っています。
記:編集ボランティア 邑松 亨子