自分を大切に 人生はすべて自分次第 藤江真梨亜さん(ブラジル出身)
2024年03月29日
自分を大切に 人生はすべて自分次第 藤江真梨亜さん(ブラジル出身)
浜松市の静岡県浜松総合庁舎9階に真梨亜さんの職場はあります。静岡県住宅供給公社です。住宅に困窮している県営住宅入居希望者に空室の案内をし、なるべく入居者の希望に合った住居を紹介しています。真梨亜さんも毎日、外国人はもちろん、日本人にも親切丁寧に応対しています。取材中も窓口を訪れる人たちは多く、職員は対応に追われていました。
来日はいつですか?
1991年に兄弟を頼って29歳で来日。派遣会社を通してゴルフ場で働くことになり日本語も少しずつ話せるようになりました。来日当時は工場のすみっこで言葉も使わずに働けばいいと思っていたのに。お客さん相手の仕事なので、自分が何を頑張ればお客さんのためになるのかも考えられるようになりました。
その後、ハローワークでの通訳翻訳、外国人の子供の就学支援のため5か所の学校訪問などだんだん仕事が増えていきました。その中に現在の住宅公社での通訳が週1回ありました。一番役に立てるのは何だろうと考えました。そして、ここだと思ったのです。その後、公社の通訳として約20年働いています。
住宅公社の仕事についてお話してください。
20年前は南米系の人たちの申し込みがとても多かったです。今も外国人の相談は多いですが日本人の応対も行っています。県営住宅の申し込みには一定の資格制限があり、収入基準を超えた人は入居できません。せっかく来てもらっても条件が合わずに帰ってもらうこともあります。そのため、事前に電話で入居資格があることを確認できてから来所してもらうよう配慮しています。また、コロナ禍においては、感染リスクを防ぐとともに、どうしたらお客様に良いサービスを提供できるだろうかと同僚と共に思案した結果、スマホのビデオ通話による「入居説明会」を考えました。これにより、わざわざ入居説明会に窓口に来なくても、家で家族と共に県営住宅のルールを確認することができるようになり、お客様の負担を大幅に軽減することになりました。この提案の応募により、公社の『一挑戦運動』で最優秀賞をいただきました。その他、QRコードを利用した外国人にわかりやすい工夫も行っています。
この仕事をすることによって、お客様から教わることも多いです。共に成長したいと思っています。公社の、高齢者と外国人支援というプロジェクトチームに携わり、ふれあい講座や防災訓練開催時には外国人と日本人がもっと仲良く暮らせるようにと心がけて活動しています。
私は、感謝の気持ちが一番だと思っています。習慣化するように毎日感謝の気持ちを10個ノートに書いてきました。感謝の気持ちがあってこそ物事がうまくいくし、自分を高めれば回りも変わっていくと思います。
自身を高めるセミナーに参加されたそうですがそれはどんなものですか?
昨年、友人の紹介で、あるNPO団体の「自己啓発」セミナーに参加しました。約1年、時には4日間泊まり込みでセミナーを受けました。人間としての在り方を学び、自己を活性化するセミナーでした。「夢ばかり追うのではなく大事なのは今である」「人のせいにして生きていると病気になる」「自分次第で回りも変わる」「自分は自分、周りに求めない」「歩きながらマイナスの感情を手放す」こんなことを考え、やっているうちに、自分が軽くなって人にも怒らなくなりました。自分がやさしくすれば相手もやさしくなります。自分を好きになりましたし、今は毎日朝晩、鏡に向かって自分に笑いかけ、自分の全身に手を触れて感謝しています。
取材を終えて
常に前向きに仕事に取り組む真梨亜さんの姿勢に私も大いに反省し、考えさせられることの多い今回の取材でした。「私は公社が好きだから仕事が続けられている。きらいになったらやめているだろう」そう言った真梨亜さんの言葉の後ろに「私はこの仕事が好きだから絶対やめない」という強い気持ちを感じ取ることができました。明日からは私も鏡の中の自分に笑いかけようと思います。
記:編集ボランティア 髙木睦子