アイルランド共和国でのコロナ禍の生活を振り返って
2021年07月01日
藤枝出身 神谷めぐみさん
藤枝出身の神谷めぐみさんの体験談です。帰国まもなく、インタビューさせていただきました。
コロナ禍でのアイルランドでは、どのような日常を過ごされましたか?
語学留学を数か月受けようと軽い気持ちで行きましたが、思いもかけずほぼ2年間外国籍の人々と閉じこもり生活を送ることになってしまいました。行ったばかりはまだコロナは騒がれておらず、語学学校入学手続きやら、落ち着く住まいを見て回ったり、近くのテニスクラブに入ったり、気分良く暮らしていました。テニスクラブは一種の社交場で、アイルランド人の友達もでき、試合の優勝者は近くのスーパーの買い物券や、実用的なものに替えられる商品券がもらえます。もちろんアルバイトもしましたが、学校はラテン系の人たちが多く、楽天的な雰囲気でした。
しかし段々とコロナの影響が出て、レベル3くらいの時はまだスーパーに行くことができ、30分ぐらい寒い中を並んで入りました。棚の上にはほぼ品物がないので、残っているものを取り敢えず買いました。またテニスの商品券が役立って、これで何とか食いつなぎ、友達と分け合ったりました。
政府から留学生アルバイトにも援助金は出ました。はじめは週350ユーロ、段々と減らされて200ユーロになりました。アルバイトを辞めたら、もらえませんでした。
レベル5になると本当に大変です。学校は閉鎖、部屋にこもりきりで何もすることがありません。ラテン系の人達はじっとしていられないらしく、ふらふら外出すると、誰かが通報するようで、警察が来て、罰金20万円くらい取られたそうです。払えないと、国外退去になります。海外からの働き手が多く入ってくると、アイルランドの若者は職を取られたと思って、常に外国籍の人々の行動を見ているようでした。私は日本人がいない場所に住んでいましたが、一般に日本人の評判はとても良く、清潔でまじめだからと親切にしてもらいました。
アイルランドはデジタルが発達していますので、お金は持ち歩きません。すべてカード決済です。ただ家賃は現金を大家さんが集めに来ます。きっと、大家さんは借りている人の確認と、現金のほうが確実だからと思っているからでしょう。他のことはすべてカードで済ませました。そのほうが安全ですから。
日本の社会とアイルランドのコロナの対応は違いがありましたか
はい、アイルランドのほうが規則がたくさん細かくあり、厳しかったです。
レベル別に人数制限や、行動範囲の指示が一覧表になっていて、どの人たちにも確認できるように、わかりやすく提示され、それに従って、生活していました。日本のように、「自粛」とか、「不要不急」というような要請ではありませんでした。外国籍の人々がたくさん住んでいるので、具体的に図式で表しているのかもしれませんね。
海外に住んでみて、パンデミックも経験なさって、気づいたことはありますか
どこに住んでいましても、今は世界中の情報が入ってきます。
友達もスマホでつくれます。でも外に出られず、学生アパートの中で何もすることが無くなって、どうしたらよいかと思ったときに、そばにいろいろな文化を持った外国籍の人たちがいると、知恵を出し合い、ものを持ち寄って、食べたり、情報交換したり、気持ちが沈むということはありませんでした。おかげさまで英語より、スペイン語のほうが上達したかもしれません。
異文化の中で外国籍の人々と国籍を乗り越える工夫をした経験は貴重ですね。
記:編集ボランティア 邑松享子