主婦業の傍ら働くエカ・クルニアティさん

2016年05月11日

日本文化が大好き

当協会で情報誌「JOY Press」の発送ボランティアをして下っている、エカ・クルニアティさんにインタビューしました。彼女の生活は、日本に住むイスラムの人々の多くが共通に経験するものでしょう。お話から、文化の違いを重く受け止めないで、周囲の人々の意識に合わせ、無理なく自分を対応させている態度が伺えます。また彼女と接する静岡の人々の示す理解と優しさも見えてきました。

インドネシアの西カリマンタン島で生まれ。中学2年の時ジャワ島に引っ越しました。日本のドラマやアニメが好きだったことや、日系企業は給料が高いので、日本語の通訳や翻訳者になりたいと思っていました。インドネシアの短大で3年間日本語を学んだ後2003年に来日し、国際ことば学院を卒業。帰国後大学に編入して2年後に卒業しました。2007年に再来日し、学院で同級生だった主人と結婚しました。主人もインドネシア出身で、静岡の家電機器のパーツを取り扱う会社で働いています。
ドラマ、アニメだけでなく日本の手作りのものもすきです。日本の手作り本を真似て小物から和菓子を作ったこともあります。日本文化が大好きです。

主婦業の傍ら

結婚後主婦業の傍ら、アルバイトをしたり、市役所のインドネシア講座の講師をしたり、県主催のイベントに参加しています。2年前には、静岡市葵区の静岡懇話会に外国人代表として、イスラム教や生活について話し、提案もしました。静岡市日ノ出町の静岡モスリム協会で開かれる一ヶ月に一度のコーランの勉強会に出席しています。

食が一番大きな問題

日本に生活する上でやはり食が一番大きな問題です。10年前は、イスラムで禁じられている食物を知らないうちに口にしたり、触れたりしていないだろうかと不安を感じていました。無意識にでも汚れてしまっていたらジルバブ(スカーフ)を着けている意味は無いのではと随分悩みました。最近では大型スーパーではハラールの食品が売られるようになりましたが、まだ調味料などはインターネットや東京などで買っています。

ジルバブ(スカーフ)の壁

就職に関しては、いつもジルバブの壁があります。外さないと、接客業では断られます。店頭に出ないような職種や、帽子やマスクで覆う食品関係の仕事を選択せざるを得ません。いろいろな人に会いたいし、日本語の練習にもなりますから接客をしたいと思いますが、まだ壁は高くて厳しいです。

日本でのイスラムに関する認識が深まり、人々の意識も次第に変わっていますので、10年前に比べジルバブをつける人が増えています。ある静鉄ストアの店長さんは、黒のジルバブなら人目に触れてもいいと理解を示してくれました。お客様には問題にはならず、スーパーにときどき会いに来てくれる人もできました。お祈りの場所が置かれる職場もでき始め、イスラム圏からの観光客の増加で1年前には静岡空港にも祈りの場所が設置されました。

ラマダン(断食月)には夫婦そろって帰国したいのですが、この時期に合わせてまとまった休暇を取るのは日本の企業では難しいことです。ラマダン中は貧しい人に衣類を寄付し、夕食をごちそうします。心が清められ、互いに許し合い、気持ちが楽になります。人間関係や身体が新しくリセットされるのです。ラマダン明けには断食の終りの祭があり、静岡ではアザレア女性会館に皆が集まります。

インドネシアと日本のかけ橋

将来インドネシアに主人の会社の支店ができた時、そこに転勤になることを期待しています。いろいろな壁がありましたが、日本での生活を楽しんでいます。少しでもインドネシアと日本のかけ橋になれたらいいなと思います。

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