武道家のその後

2020年11月01日

フランス出身 フランソワ・デルヴァーさん

皆さんこんにちは!今回は、武道家、書道家であり、フランス語学校エスパス・エクラタンの校長先生でもあるフランソワ・デルヴァー(FRANCOIS DELVART)さんのインタビュー記事です。
国際交流協会は2005年デルヴァーさんにインタビューを行い、県内で活躍する外国人として皆さんに紹介しました。その時から15年がたち、デルヴァーさんはどう過ごしているのでしょうか、デルヴァーさんから見た静岡はどう変化したのか聞いてみました。

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デルヴァーさんは1969年生まれの51歳、フランス北部、ベルギー国境に近い町の出身で、初めての来日は1995年26歳の時でした。来日の目的は、古武術を体験したいというかなりマニアックなものでしたね。

母国フランスで17歳から空手を始め、大学でも社会人になっても空手を続けていたのですが、大学時代空手専門誌で知った武術家井上元勝先生の考え方、生き方に深く共感しました。以来、清水市の井上元勝先生の道場を訪ね、古武術発祥の地の空気を肌で感じたいと思い続け、1995年の来日となりました。

2005年のインタビューは覚えていらっしゃいますか?その時は、フランス語を教えながら、子供たちに空手を教えていましたね。今では、武道家であり、書道家でもあります。また、三保の海岸の浸食と散乱するごみを見て、美しい日本の自然を守る気持ちが薄れていくのではないかと心を痛めていましたね。

2005年のインタビューは覚えています。あれからいろんなことがありました。特に古武術を修行したいという長年の思いが、素晴らしい出会いを通して実現しました。本当にうれしかった。『自分の思いを持ち続けていれば、必ず出会いが生まれ、人生も豊かになっていく』という確信を持つようになりました。今では、大川昌春先生が指導する春清館で地道に修行を続けています。

書道は日本文化への理解を深めるために始めました。1998年岡田明洋先生に師事し、2010年静岡市民文化祭書道部門市長賞、2015年第2回日展初入選することが出来ました。書道と武道、臨む姿勢は同じだと私は考えています。型を通して精進し、迷った時は型に帰って自己を見つめなおす、この繰り返しだと思います。楽に流れず自己を常に見つめなおすことは、自ずと厳しく全ての道に共通することだと考えています。

かつて私の家の前には池がありましたが、この20年の間に池は駐車場となり、ショッピングセンターとなりました。静岡の街は自然のままや何もない空間が少しでもあると駐車場や建物で埋めようとする意図があるようです。人は自然の中で生き、生かされています。静岡市の街づくりには、その時の利便性や経済性を求めるだけでなく、日常的に自然を感じながら生活できる街という長期的ビジョンを持って、市民一人一人が身の回りから選択を重ね進めることが必要だと思います。

フランスは自然と共に暮らす街づくりが成功しています。帰る度に自然と一体となった住みよい街になっているのです。静岡にはまだ美しい自然が残っています。皆さんと一緒に自然を感じる住みやすい静岡市を創っていきたいと願っています。

 

古武術という私にはわからない日本の魅力の一つがフランスの青年を静岡に惹きつけ、その青年の成し遂げたことに周囲は瞠目するばかりです。最後にデルヴァーさんが「三つの余」(余白、余情、余裕)が大切ですと教えてくれました。「三つの余」が知りたい方は、デルヴァーさんに会う機会を楽しみにしてください。

記:編集ボランティア 杉山滋敏