困ったら私がサポートしますよ!

2019年10月01日

大石シャオリーさん(中国遼寧省大連出身)

今年の7月から静岡県多文化共生総合センター「かめりあ」で相談員として働き始めた大石シャオリーさんにお話を伺いました。日本での暮らしは25年以上と長く、今では言葉も雰囲気もすっかり静岡人です。

コーヒー好きの日本人のご主人と共に静岡市清水区で喫茶店を開いています。サラリーマン時代のご主人が仕事で中国大連に出張していた時に知り合って結婚、成人した2人の娘さんがいて日本国籍を取得しています。

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日本語学習は楽しかったです

高校を卒業して大連にある日中合弁のホテルに就職しました。ホテルでは接客に必要最低限の決まり文句だけを丸暗記して使っていましたが、その後1年間沖縄で日本語の研修を受けました。同じ漢字圏ですので、勉強は楽しくて、沖縄から帰った時もっと勉強したくなり、それまで仕事で貯めたお金を日本に留学資金にして来日しました。日本に来た時は日常会話はできましたし、埼玉に留学後半年ほどで主人と結婚しましたので、日本語で困ることはありませんでした。

泣いたり、笑ったり、感謝したり

日本で暮らし始めた最初は、日常会話は何とか出来たとはいえ、習慣や考え方が全然違いましたので、戸惑うことが度々で、結構泣いたりしていました。結婚してすぐ子供ができて、子育てやお店のことに不慣れで、多くのことを一人で抱え込んでしまいました。生活や子供の成長に伴う心配事は、親が近くにいませんでしたが、周りの人にいっぱい助けてもらいました。お店のお客さんも貴重なアドバイスをしてくれました。とても感謝しています。それで、自分の力は足りませんが、それなりに誰かの力になりたいと思い、この相談員の仕事をひきうけました。

国際結婚はいいですよ

家庭内で国際交流ができて、互いに違いを理解し合え、中国、日本に対する考え方も変わってくる。物事を柔軟に考えることができるようになりました。例えば、ニュースを見てもお互いの国の主張が理解できる。どちらが良い悪いではなく、出来事があれば必ずそこには理由があります。多文化を知ることで、考えの幅が広がりました。その点、今の仕事はいろいろな人に出会うことが出来て、新しく耳にすることだらけで楽しいです。

母と弟妹のいる中国に帰るとホッとしますが、主人や娘たちの住む日本に帰ってもホッとします。また違う安心感というか、身内の絆ですね。でも、お互いに干渉しないで仲よくするという日本の家族のつきあい方は、生活文化の歴史の流れで現在の状態に至っていると、受け止めてはいますが、寂しさを感じます。中国では家族間の繋がりがもっと密で強いです。

日本の習慣を知らない外国の方には、寛容な心で暮らしのルールを教えてあげてほしい

もともと生活習慣が違うのですから、寛容な心で理解してあげて欲しい。公共の場で大声でしゃべらない、ゴミはルールに従って出すことなどは、悪気は無く、知らないだけの場合があるので、説明をすれば分かると思う。アパート入居前に、不動産業者に説明責任を持ってもらうというのはどうでしょう。

外国人へのサポートは、とにかく孤独にならないように、同国人に限らず誰かと話せる場所を提供してあげることが第一だと思います。県や市主催だけでなく、身近な町内会の国際交流のイベントがあればいいなと思うことがあります。また、外国人とって日本の社会で暮らすためのいろいろな手続きは難しいものです。手続用紙がもっと分かり易い簡単な日本語で書かれているといいのですが。

郷に入っては郷に従え

日本で働こうと新しく入ってくる外国人に対しては、まず、「郷に入っては郷に従え」を言いたい。日本人の習慣を理解して生活をすること。悩みがある時は自分だけで抱え込まないで周りに相談する。自分の考えを突き通さない。「和」を大事にする日本文化を知ること。そして困った時は、静岡県多文化共生総合相談センター「かめりあ」のスタッフのみなさんと一緒にサポートします。

柔らかで落ち着いた雰囲気を持つ彼女は、自分の幸せを他の人に分けてあげられる人だと思いました。

記:編集ボランティア  川島 康子