フォトジャーナリスト マエダ・ジュニオールさん

2019年09月10日

マエダ・ジュニオールさん

掛川市に住む日系ブラジル人3世、マエダ・ジュニオールさん(42歳)は、派遣社員として市内の自動車部品工場の現場で働きながら、最近は写真家としての活動に意欲を燃やしています。休みを利用して今までに撮り貯めた写真は、今年2月浜松市内で開かれた写真展をきっかけに多くの人の目に留まり、テレビ・新聞等のマスコミでも話題になりました。
子ども時代、来日してから今日までの日々、写真に寄せる思いなどを語っていただきました。

子ども時代~来日まで

プロのカメラマンだった祖父は、80年前に写真関係の仕事でブラジルに移住しました。父もプロになりたかったらしく、子どもの頃から家の中で写真(カメラ)についての話を聞く機会が多かったです。1989年に父とおじさんが出稼ぎで日本へ。自分も14歳の時日本に来て、日本語学校で勉強しながら千葉県内にある会社で一緒に働きました。

働きながら写真を撮り始める

会社の寮に住み、夜勤で8時間働く生活でした。バイクが欲しかったので、その夢を叶えたかったのです。その頃、会社の先輩でタキグチさんというカメラ好きの日本人と出会いました。タキグチさんとの出会いが、僕のその後の人生に大きな影響を与えてくれました。
言葉が分からなくても、カメラという共通の趣味を通して、週末に撮影について行ったり、中古のカメラを買ってフィルムの使い方を教えてもらったりしながら写真のことを勉強しました。

写真家になろうと決めるまで

その後は身の回りに色々な変化があって、会社や住まいも変わったりしたので写真を撮らない時期が10年間くらい続きました。静岡県に来てからは、吉田町にある会社で7年間働き、5年前に浜松市内の会社に移りました。
その間に又新しい出会いがありました。故郷が同じだったプロの水中カメラマンとの出会いです。一緒に海に行った際に、借りたカメラで撮った写真を見たカメラマンに、腕前をほめられました。
2014年掛川市に移り住み、本格的に写真の勉強をするために毎週末、磐田にあるブラジル人の為の写真学校に通い始めました。カメラを買って海に行き、写真を撮ってみると…
その写真に自分の気持ちが表れている!写真で気持ちを表現できることに気がつきました。僕からのメッセージが伝わるような写真を撮っていこうと、その時に思いました。

そして今は

住んでいるこの地域は自然が豊かで、夕日、夕焼け、畑仕事をする人の姿など、写真の題材がいっぱいあるので写真を撮るのが楽しいです。現在は、日系人を対象としたポータルサイトへ写真を提供しているとともに、1990年代に来日した出稼ぎ労働者に着目した「デカセギ」をテーマに写真を撮り続けています。
出稼ぎで日本に来た人たちが日本の社会でどうやって暮らしてきたか。言葉の壁・現場でのきつい仕事・寂しい気持ち・疲れた体…僕自身もそういう体験をしてきたから、それを今、写真で伝えられたらと思っています。今日本で生まれ育つ子どもたちが、 “自分も頑張らなきゃ”って思ってくれたら嬉しいです。実際浜松市の写真展に来場した若者が、写真から親の苦労を読み取り、涙する姿を見て、写真の力を痛感しました。
これからも、テクニックより自分の気持ちを大切にしながら写真を撮り続けていきます。

静岡県国際交流協会は、来年3月10日(日)に創立30周年記念事業を開催します。
その中で、ジュ二オールさんの写真展を予定しています。お楽しみに!!

記:編集ボランティア  齊藤 淑子

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