「定住外国人正社員雇用促進セミナー」 (令和5年度定住外国人正社員就労促進事業 県労働雇用政策課委託)

2023年11月01日

 

静岡県には、日系ブラジル人等の「定住外国人」が多く在住しており、多くの方が派遣や請負等で働いている特徴があります。県では、就労制限がなく、就労意欲のある方々を、正社員として迎え入れるよう、県内企業に働きかけを行っています。
企業向けセミナーでは、定住外国人を正社員雇用する企業の責任者と定住外国人正社員から、事例報告をいただいていますが、今回は島田市にある(株)エコワークに事例をインタビューさせていただきました。

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建設業で働く外国人正社員紹介

・企業名:株式会社エコワーク(本社 静岡県島田市)        
・会社事業:道路工事、一般土木工事などの総合土木建築業    
・外国人正社員:トカイリン・イカロさん(40代 男性 定住者)ブラジル生まれの日系三世 藤枝市在住         
語学力 :日本語(日常会話は流暢だが、ひらがな、カタカナ、漢字の読み書きは苦手)ポルトガル語
現在の担当職種は、道路のメンテナンス(舗装、路面の雑草除去など)

1.㈱エコワークへ入るまで              

17歳の時来日し30年になります。派遣として工場で働きましたが工場の仕事が合わず、1年でやめて建設の仕事に変わりました。建設の仕事がとても合っていると思いました。そこで経験を積んだ後、内装の仕事で起業しました。自立して10年ほどでコロナの影響で仕事が少なくなり、㈱エコワークの関連会社でアルバイトをするようになりました。そこで㈱エコワークから正社員にならないかと声をかけてもらい、1年前に入社しました。  

2.日本語について                           

来日した時日本語は全く話せませんでしたが現在は流暢に話せます。日本語は仕事の中で聞きながら覚えていきました。分からないことはしつこく聞くようにしています。最初の頃は「それはダメ」という言葉をよく言われましたが、意味が分からず何回も聞いてやっとわかったことを覚えています。    
日本語の文字の読み書きはうまくできませんが日常会話に不自由有りません。日本人の奥さん、会社の同僚、上司が先生になってくれています。建設業は安全が重要ですが、もし自分が怪我をすると他の人にも迷惑がかかるので人一倍気を付けています。特に安全に関わる言葉についてはよくわかるまで聞いています。

3.資格取得について                    

以前から仕事に必要な資格は取るようにしており、今は草刈に必要な刈払機取扱作業者、高所作業用の墜落制止用器具取扱教育(ハーネス)及び小型の重機の資格を持っています。これらはポルトガル語で教えてくれるところで取得しました。資格取得の費用は会社が負担してくれるので助かります。必要な資格はこれからも取っていこうと思います。  

4.正社員になって                    

起業して仕事を請け負っていた時はやりがいもありましたが、収入面では不安定であり家族からもそろそろ安定してもらいたいという要望もあったため、正社員になって良かったと思います。子供が大学へ行っていますが、お金のことを心配させずに済みます。社会保険はもちろん、昇級や賞与、退職金もありますし、会社の制度を使って沖縄にも家族で行きました。        
また以前の職場では外国人であるための差別を感じたことはありましたがこの会社は日本人と一緒に扱ってくれて差別は感じません。いい会社と思っています。                  

5.会社から ㈱エコワーク 総務部 高野部長 工事部 堀内課長

現在外国人社員は、定住者はイカロさんだけで、他には、技術・人文国際業務の中国人、技能実習生のミャンマー人等7名います。会社では、「外国人だから」という考えは持っていません。この考えは社長が率先しており、一例として実習生のお国柄を理解する一環として実習生の母国であるミャンマーを社内旅行先として選んだり、帰国などで外国人社員から長期休暇の申請があれば、時期により1か月の取得も許可しています。
イカロさんについてはその仕事ぶり、人柄から㈱エコワークへの入社を誘いましたが、入社後もまじめに仕事をしてもらい助かっています。人手不足は恒常的に続いておりますが、国籍に関係なく長く仕事をしてくれて会社の財産となる正社員の雇用を今後とも進めていきたいと考えています。