令和3年度 外国人支援者を対象とした連携研修会

2022年03月22日

 

当協会では、外国人からの相談に多言語で対応する窓口、静岡県多文化共生総合相談センター「かめりあ」を、静岡県から委託を受け運営しております。また、今年度は、静岡県社会福祉協議会から委託を受け、自立相談に関し、相談体制の強化を図ることを目的とした通訳業務も実施しています。様々な分野で相談業務等を担当する職員に外国人の相談に必要な知識を身につけてもらうとともに、相互の交流を図り、外国人住民支援相談機関相互のネットワーク構築を目指すための連携研修会を、西部、中部、東部の参加者に分かれオンラインで開催しました。

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<日時/参加者数>
(西部)1月17日(月)/46名  
(中部)1月25日(水)/49名
(東部)2月3日(木)/48名

<参加者>
各関係機関外国人相談員、通訳者、相談業務担当者、専門家等
(行政窓口、市町国際交流協会、社会福祉協議会、社会福祉人材センター、社会福祉士会、ジョブステーション、出入国在留管理局、住宅供給公社、法テラス、弁護士会、行政書士会、社会保険労務士会、医師会等)

<内容>
①    外国人相談事例紹介及び専門家による解説(13:00~14:00)

西部:(労働)静岡県多文化共生総合相談センターかめりあ相談員・特定社会保険労務士 中谷 江津子 氏
中部:(法律・DV)弁護士 堀尾 純矢 氏
東部:(外国人の在留資格と手続きについて)名古屋出入国在留管理局 審査管理部門 在留支援担当 勝 久美子 氏

 講座の始めに、労働、法律、在留資格について、それぞれの専門家を講師に迎え、相談事例の紹介と解説を行いました。
 労働に関する解説では、社会保険労務士の中谷氏から、退職時の手続き、労働契約や社会保険について実際に寄せられた相談事例を基に、ポイントを解説していただきました。有給休暇取得の考え方、有期と無期労働契約の違いや書面締結の必要性、雇用形態に関わらず妊娠や出産に関連した各種手当金の制度、給与から引かれる社会保険のことなどについて、言葉の壁や制度の違いがある外国人の方にとって理解することが難しいこと、それを踏まえて、外国人と企業との仲介に入り、適切な相談窓口につなぎ通訳支援を行った結果、良い解決に結びついた事例等を紹介いただきました。外国人相談対応の注意点として、法律用語でなく分かりやすい用語で対応する必要性、各国の文化や考え方の違いも尊重した上で、日本の制度について理解してもらうことの必要性などが挙げられました。
 労働については弁護士の堀尾氏に解説していただきました。日々の相談業務の中で、弁護士に相談したいといった、外国人からの法律関係の相談は多く寄せられています。事例紹介では、DVや離婚、商品購入や交通事故を巡るトラブルについて詳しく解説していただきました。離婚に関する相談では、外国人の婚姻・離婚は、日本法と外国法と二重の状態であることから、離婚の際には、協議離婚が認められているペルー、離婚を認めていないフィリピン法等適用される法律に基づき届出や調停、裁判などに進むため、対応できる専門家や通訳者等も限られるなど、外国人特有の問題として説明がありました。また、中古車購入をめぐるトラブルでは、ディーラーも外国人であるなど、外国人同士のトラブル等も増えてきているため、事例の集積をしながら、被害を未然に防ぐことも必要であると解説がありました。外国人からの相談は様々な問題が絡み合っている例が多く、法テラスの多言語情報提供窓口やかめりあの無料弁護士相談会などの支援窓口を利用しながら、各機関が連携して対応することが大切になると締めくくられました。
 東部の研修会では、名古屋出入国在留管理局から、外国人の在留資格と手続きについて解説していただきました。外国人から寄せられる相談には、在留資格が密接に関わってくるため、在留資格についての基本的な知識を身に付けておくことが大切です。相談される方が多い永住許可申請に必要な書類や要件について、留学生や技能実習生の在留資格変更について、離婚に伴う在留資格の変更手続きについての事例を解説していただきました。現在は特にコロナの影響で帰国できない留学生や実習先の経営悪化により継続が困難になった技能実習生から、在留資格の延長や変更に関する相談が多く、特定活動等の資格変更への流れや、更新の要件などといったことについて、制度の詳細も説明していただきました。

②    福祉における外国人相談事例紹介及び解説(14:00~14:30)

 森町社会福祉協議会、清水町社会福祉協議会、静岡市清水医師会の担当者から、福祉に関する外国人相談の事例についての解説や、取り組みについて説明していただきました。

(西部)社会福祉法人森町社会福祉協議会 事務局 鈴木 健太郎 氏

 新型コロナウイルスの影響を受け、生活困窮に陥った南米出身相談者の事例について、どのように支援に繋げることができたか、相談を進めていく中で感じたコミュニケーションの難しさや、相談対応の際に重要なことを紹介していただきました。社会福祉協議会が窓口となっている新型コロナウイルスに係る主な支援である、生活福祉資金の特例貸付、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金、住居確保給付金、生活困窮者自立支援制度などについても説明がありました。子どもに親の失業や悩みなどについて通訳をしてもらわなければならなかった状況や複雑な制度を理解してもらうのが難しかったこと、機械通訳の限界を感じたことなどの経験を経て、通訳を介したり、様々な関係機関と連携したりしたことで必要な支援に繋げることが出来たと説明がありました。子どもの支援では、外国人の子どもの教育支援をしているNPOとも連携した日本語定着支援やフードバンクの食料支援にも取り組んでいます。今後も、外国人の生活背景や文化理解等を学ぶ研修を実施していきたいと説明がありました。 

(東部)社会福祉法人清水町社会福祉協議会 事務職員 杉本 洋崇 氏

 清水町ではコロナの影響を受けて、新規相談件数が17倍に増加し、外国人相談者が窓口に来られるようになったとのことです。コロナの影響で仕事が無くなった、お金が欲しい、食べ物が欲しい、単純に困っているといった内容の相談が寄せられました。外国人の方の相談は、言葉や制度の理解が難しいこと、社会福祉協議会単独での対応では困難な事例が出てくることなどが挙げられました。貸付などでは、母国への送金者が多いこと、世帯を把握するにも外国人はシェアハウスを利用していることも多いなど、外国人ならではの困難な状況も見え、応援職員でも対応できるように、制度利用時に重要なポイントとなる部分を意識しながら、手順の作成と共有をされたそうです。また、翻訳機器の導入や、制度内容を理解できるよう、シンプルで明確な説明を心掛けたりするなど、工夫を凝らしながら相談対応に取り組まれていました。また、自分達でも対応できるよう、地域に住む外国人の背景や、相談者の特性の違いを理解することの必要性や、今後に向けた長期的な支援体制の検討を始められているとのことでした。外国人相談者との関係づくりを大切にしながら、今後の特例貸付の償還や償還免除申請などの難しい内容等についても、関係機関と連携を強固にして対応していきたいと説明いただきました。

(中部)(一社)静岡市清水医師会 在宅医療介護相談室 認定社会福祉士 精神保健福祉士 安藤 千晶 氏

 外国人相談対応事例を基に、相談を各支援機関にどう繋げば良いのか、本当の困りごとを確認するために大切なこと、工夫している取組などを紹介していただきました。相談対応する際に、外国人はそもそもどこの窓口に相談したら良いのか分からないため、内容をしっかりと整理し、連携しながら適切な相談機関に繋ぐことが必要となり、普段から各機関が顔の見える関係を作っておくことで、よりスムーズに支援を進めることが出来ると説明がありました。また、正確に相談対応するために必ず通訳をお願いすることや、外国人特有のポイントである在留資格の確認や生活背景などを掴み、課題を整理し、適切な専門機関と連携していくこと、また、一つの相談の裏に隠れている根本的な問題を見つけ出すことも大切だと教えていただきました。工夫している取り組みとして、オンラインで遠方の支援者と繋ぐことで、より多くの相談に対応できるようになったことなどを紹介していただきました。

情報交換会(ブレークアウトセッション) (14:40~16:00)

 後半はグループごとに分かれ、それぞれの相談窓口の対応状況、外国人相談対応で困難だった事例、他機関に協力を求めた事例などについて、情報交換を行いました。話し合いの中では、多国籍化している外国人住民の通訳対応に苦労していること、労働や住宅関係の相談事例、複雑な案件をどの支援機関に繋げば良いのか、通訳の方に必要なことなど、様々なことが議題として挙げられていました。今回の研修会には、様々な相談窓口や関係機関から担当者が参加してくれたため、それぞれの立場から解決策を提案していたくことができ、また、日々の困り事や各機関の支援内容も共有することができました。
 参加者の方からは、改めて支援体制や連携について考える機会となった、事例と解説がセットになっていたので、具体的でわかりやすかった、相談者の出身国にあった方法で相談できる環境を整備・提供する必要性がある、社会福祉協議会の支援内容を聞いて、こんなにたくさんの支援があったのかと感心した、これらの情報を更新していく必要性を感じた、様々な機関の業務を知ることができて良かった、互いの顔が見れたことにより今後の協力が可能になると思う、といった感想をいただきました。

 今回の研修会を通して身に付けた知識や、担当者同士の繋がりを生かして、日々の相談業務に取り組んでいきたいと思います。