平成27年度 外国人医療支援事業報告

2016年12月01日

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当協会では、平成25年に静岡県の160病院を対象とした外国人患者対応について実施したアンケートから、外国人の診療においては、病院での不安を抱えての診療を余儀なくされている状況がわかり、病院や外国人相談員からの要望を受け、医療通訳の養成に取り組んでいます。

母語支援者の増加

平成27年度までに、ポルトガル語・スペイン語はもちろんですが、中国語や最近需要が増えているタガログ語など、年に述べ100名程度の母語支援者が、当協会が主催する医療通訳研修会を受講し、医療通訳の心得・必要な医療用語・通訳技術などを学び、実践に臨んでいます。

病院関係者との連携について

写真医療通訳の必要性や外国人患者への接し方等について、医療従事者を対象としたセミナーや、病院関係者と医療通訳者・市町国際交流協会等との連絡会等を定期的に開催することにより、病院における医療通訳の体制づくりや多言語対応について協議を行っています。
協力病院とである静岡済生会総合病院、市立湖西病院、静岡県立こころの医療センター、静岡県立こども病院を含め、今年度新たに、浜松医療センター、中東遠総合医療センターと研修会を開催するなど、医療通訳を介した診療に向けた連携が進んでいます。
中部地域においては、昨年度から医療通訳派遣を行っている静岡済生会総合病院を拠点病院として、今年2年目をむかえ、ほぼ毎回依頼が入るようになりました。
また、今年度に厚生労働省外国人患者受入れ環境整備事業外国人患者受入れの医療通訳拠点病院として全国の19病院が採択された中で、磐田市立総合病院が静岡県で認可されました。今後、外国人患者の状況が明確となり、静岡県の外国人医療の支援体制が整うきっかけとなることを期待します。

ベトナム語通訳者派遣の要請増加

病院での医療通訳を介した診療が進むことを目的に、医療通訳の配置がない、または、少数言語での対応が必要な病院への医療通訳者を派遣しています。
今まで連携している静岡済生会総合病院や静岡県立こども病院に加え、今年度は、新たに菊川市立総合病院へ派遣しました。病院が診療時間や回数・内容等を調整し、通訳対応にかかる責任などを病院側で負担するなど医療通訳について理解を得た病院に限り、依頼に応じています。
今年度は、深刻な症状のベトナム語が必要な患者さんの通訳依頼が2件ありましたが、経験がない母語支援者では厳しい状況であったことから、他県の専門団体を紹介しました。他県からの派遣は、協定書の締結が必要になったり、日程調整が困難であることから、派遣にいたるまでに時間も費用もかかり対応がむずかしい状況です。静岡県内の医療体制づくりが急務であると感じています。

平成27年度までの成果

  • 県内160病院を対象とした外国人患者対応について(平成25年度)
    書面アンケート:160病院
    聴き取り:14病院
  • 医療通訳研修会の開催
    受講者数:ポルトガル語、スペイン語、中国語、タガログ語等94名(平成27年度)
    (H24年度:101名、25年度:177名、26年度:105名)
  • 病院を中心とした関係者連絡会の開催
    東部:富士・富士宮市、中部:静岡市、西部:湖西市・浜松市・掛川市・袋井市
  • 医療従事者を対象としたセミナーの開催
    協力病院: 磐田市立総合病院(厚生労働省外国人患者受入れの医療通訳拠点病院)
    静岡県立こども病院、浜松医療センター、中東遠総合医療センター(27年度新規)
    市立湖西病院、静岡済生会総合病院、静岡県立こころの医療センター