定住外国人正社員雇用促進セミナー「あなたの会社にも外国人正社員」(令和4年度定住外国人正社員就労促進事業 県労働雇用政策課委託)

2022年10月01日

 

静岡県は、日系ブラジル人等の「定住外国人」が多く、その中でも、派遣や請負等不安定な環境で働いている定住外国人が多い特徴があります。
在留資格に就労制限がなく、これからも静岡県に長く住み、意欲を持って働きたい方々を、静岡県の会社に正社員として受け入れてくれるよう働きかけを行っています。
今回は、静岡県中小企業家同友会に御協力いただき、定住外国人を正社員として雇用している企業の責任者と定住外国人社員から、事例報告をいただきました。

イメージ画像

イメージ画像

日時   令和4年8月24日(水)18:00~19:00
開催方法 Zoomオンライン研修会 
講師   平野 保 氏(株式会社鈴与カーゴサービス浜松 雇用責任者)
鈴木 カリン アユミ氏(ブラジル出身、定住外国人正社員)
 

平野保氏からの講話

以前は、技能実習生を採用していたが、安定した人材確保につなげるため、定住外国人採用を積極的に始めた。
現在は、ブラジル総領事館から人材を推薦してもらい3人の定住外国人を正社員雇用している。
外国人社員が安心して働けるようエルダー制度を導入している。月に1回、取り組んだことや困ったことなどの悩みを聞き取り、社内で共有し、必要に応じて上司が出て行く制度である。これは、日本人も同様に実施している。コミュニケーションを切らさないことが重要であり、厳しさも優しさも日本人と同様に対応している。
外国人の雇用は苦労するのではという質問をよく受けるが、日本人が海外出張や駐在員として働くのと同様で、多少のコミュニケーションができれば意思疎通は可能である。
日本語が話せる社員であればなおさら、会社としての苦労はなかったが、外国人社員本人は、不安や心配事があったと思う。
企業側が、外国人社員の気持ちにどれだけ寄り添えるか、丁寧に対応できるかが大事だと考えている。
外国人だからという考えをはずし、人としてどのように丁寧に関わっていくかが重要だと思う。

鈴木カリン氏からの講話

日本で生まれ育ち、現在21才。ブラジル人学校に通い、授業は全てポルトガル語だったが、小学校3年から、学校で日本語授業を週1時間と日本語教師の支援を受け、19歳で日本語能力試験N1に合格した。
就職については、親から正社員として働く方がよいとのアドバイスがあり、日本語教師を通して、県国際交流協会から、今の会社を紹介してもらった。
仕事内容は、在庫管理業務や返品の仕分け、パソコン入力等から、最近は出荷作業も行っている。仕事で使う日本語は、漢字が一番大変。わからない言葉があると、形を暗記し、家に帰って検索するなどして、漢字を覚えている。また、ブラジルで使わないメールのマナーや敬語を使うこと等が大変だったが、今は慣れてスムーズにできるようになった。
コロナ禍で、派遣社員の給料が下がったり、会社を首になったりといった話を聞く中で、自分は、安定した給料や保障、福利厚生があり、今後の生活を考えた上でも満足している。
少子高齢化が進み、企業も外国人が多くなるはず。そうした中で、2か国語でサポートをしていきたいと思っている。自立した社会人として頑張っていきたい。

 

後半は、受講いただいた企業の方から、質問をいただき、日本語がわからない定住外国人社員への指示の方法や工夫を教えてほしいという質問には、資料の翻訳や行動観察をしながら、マニュアルの完成度を高めていることを講話した企業から説明いただくなど、活発な意見交換の場を持つことができました。

最後に、当協会から、今年度実施するアドバイザー支援制度について説明を行いました。
企業セミナーは、今年度5回の開催を予定しています。

本事業では、正社員として活躍する定住外国人を増やし、様々な人材が活躍できる環境づくりを進めます。