令和3年度静岡県多文化共生総合相談センターかめりあ  (静岡県受託事業)

2022年06月24日

 

当協会では、外国人の多言語相談窓口「静岡県多文化共生総合相談センターかめりあ」を、令和元年7月から運営しています。
外国人県民や外国人と関わる皆様、関係機関への周知も進み、年々相談件数が増えています。令和3年度は、相談件数 2,164件(前年度比 390件、約22%の増加)、月平均約180件の相談が寄せられました。外国人住民の定住化も進み、在留資格・労働・医療・福祉に関することなど、相談内容は多岐に渡ります。特に、新型コロナウイルスの感染拡大により、感染症の病状や病院受診、PCR検査、ワクチン接種等についての相談や休業にかかる証明書の発行、自宅療養を余儀なくされている家族への食料支援、帰国困難の在留資格の変更、生活困窮に陥った外国人への給付金制度の説明など、センターは、外国人県民のセーフティネットとしての役割がますます求められています。相談員は、日々更新される制度や情報について、支援窓口や専門機関へ確認や相談をしながら、的確かつ迅速な情報提供や相談対応に努めています。

相談体制

「かめりあ」では、ブラジル、フィリピン、ベトナム、中国、インドネシア、韓国出身の外国人相談員と、行政や民間企業出身者、社会保険労務士の日本人相談員が、日々寄せられる様々な相談を受けています。相談員以外の言語にも、3者による電話サービスやテレビ電話を用いながら、様々な国籍の外国人からの相談を受けられる体制を整えています。
相談内容に応じ、情報提供や傾聴、他機関への紹介などを行っています。外国語通訳が必要な相談者のケースでは、3者通話で通訳介入しながら、適切な専門機関とつなぎ、相談者が的確な情報を得られるよう心がけています。「かめりあ」のほとんどの相談は、SNSや電話での問合せが多いのが特徴です。

相談内容

令和3年度言語別の相談件数は、多い順にベトナム語約25%、フィリピノ語約14%、インドネシア語約14%、ポルトガル語約12%、スペイン語約6%でした。その他の中には、日本語での相談450件程度も含まれ、外国人と関わる日本人からや、日本語を話せる外国人からも多くの相談がありました。
相談談内容については入管手続き(約22%)、医療(約12%)、雇用・労働(約9%)と順に多く、通訳・翻訳、身分関係に関する相談と続いています。

専門相談会(弁護士相談会・社会保険労務士相談会・行政書士相談会・出入国在留管理局相談会)

通常の相談業務に加え、専門相談会を開催しています。第2水曜日の午前は社会保険労務士、月末の午前は静岡県行政書士会による行政書士相談、午後は両日とも法テラス及び静岡県弁護士会と連携して法律相談、毎月第3火曜日に名古屋出入国在留管理局による相談会を開催しています。
令和3年度は、弁護士と出入国在留管理局の相談数が特に多く、弁護士相談は離婚、相続など29件、入管相談は、新型コロナウイルスの影響による在留資格の変更手続きや、家族の呼び寄せなどについて58件の相談がありました。相談会は対面だけでなく、SNSアプリ等を使用してオンラインでも行っております。

出張相談会

他市町や外国人コミュニティと連携した出張相談会も開催しております。今年度は全6回、また、県社会福祉協議会の委託事業として2回、合計8回(焼津市、藤枝市、牧之原市、掛川市、湖西市、富士市、吉田町、清水町と連携した出張相談会)の相談会を実施しました。
出張相談会には、弁護士、行政書士、社会保険労務士、社会福祉士などの専門家に同行いただき、問題が多義にわたる場合にも、専門家が連携してワンストップで対応しました。出張相談会は、外国人が集住する地域に出向き、基本的に週末に開催し、相談できる機会を提供しています。


専門相談の事例を一部紹介します。

入管手続
Q 技能実習生。3月にコロナの影響で飛行機チケットが買えず、帰国できなかった。
4月に日本語学校に入学したい。資格変更について教えてほしい。(東南アジア・技能実習生)
A 技能実習生の在留資格は、日本で実習したことを国へ帰ってその技術を伝えていくことが前提であることから、留学生の在留資格変更はむずかしいところではあるが、必要書類を説明した。

法律相談 
Q 2か月前に中古車を外国人が営む中古販売店から購入した。代金を支払ったが、納車しない。催促してもいろいろな理由を言うだけで、進展しない。(南米 定住外国人)
A 最近、外国人同士のビジネスのトラブルが増えている。
警察への届出が必要。弁護士の依頼を希望するのであれば、受任後、書面等の手続きを始めることができると伝えた。

労働相談
Q 居酒屋で働いているが、毎月現金で給料を払ってもらっていたが、今月分から給料をもらえなかった。店長に聞いたら、緊急事態があって店の収入がないので払えないと言われた。契約書がなかったので、どうやって給料をもらうことができますか。(東南アジア 留学生)
A タイムカードのコピーを確認し、労働局へ問い合わせた。近くの労働監督基準署へつないだ。