令和3年度医療通訳者専門(フォローアップ)講座第2回

2021年12月03日

 

 当協会では、去る11月13日(土)に、医療通訳者専門(フォローアップ)講座の2回目を対面で実施しました。当日は、ポルトガル語11名、中国語8名、ベトナム語9名、タガログ語8名、スペイン語4名の合計40名の通訳者が参加し、熱心に学びの場を持ちました。

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 静岡県の医療通訳研修会に毎年協力いただいている講師を迎え、午前は、特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)ポルトガル語通訳の岩本弥生氏より、逐次通訳解説、通訳の技術トレーニング、用語の確認についてお話いただきました。

 午前の通訳解説については、医療通訳とは、正しく伝えるメッセンジャーであること、
患者と医師の円滑な関係構築のための通訳をする上での鉄則、逐次通訳の注意点、単語を忘れてしまった等のピンチを回避する方法、医療通訳者だからこそ中断・介入しなければいけない重大な場面等、具体例を交えながら、説明いただきました。

 医療通訳経験が増えると、余計だと思い込み勝手に引いたり、自分の知識を勝手に足してしまうことがあるが、大きな問題に発展することもあることを意識し常に確認を忘れないこと、通訳は、流暢であることより、片言でも良いので、患者が100%理解することが大切であること、数字など間違えてはいけない事柄は必ずメモをとること、抽象的な表現についても、より具体的に伝わるよう言い換えて確認すること等を説明いただきました。また、通訳者の準備が十分で先生との連携がぴったりはまったときの手応え等についても紹介がありました。
 また、通訳技術として、メモ取り、クイックレスポンス、シャード―イング、リプロダクション等一人でできる通訳の演習を一緒に行い、実践につながる訓練を教えていただきました。

 午後は、引き続き、ポルトガル語は岩本氏、スペイン語は浜松医科大学の形岡洋光氏、中国語は宇野冬美氏、フィリピノ語はパラデロ モン アンジェロ氏、ベトナム語はグエン ティ ビック チャン氏が講師となり、医療現場での通訳を想定した言語別の演習を行いました。
 下記5つの場面について、医師役、患者役、そして医療通訳者を交代で演じながら、実技演習を行いました。
①新型コロナウィルス感染症患者に対する積極的疫学調査
②病院の総合受付における新型コロナ感染症に関する簡易的問診の場面
③逆子で帝王切開-入院のためのPCR検査他の場面
④夜寝られないという主訴で来院
⑤旅行中に脳梗塞で入院となったケース
 新型コロナ禍におけるPCR検査や感染経路、パルスオキシメーター等の特有な医療用語や帝王切開や脳梗塞などにおける場面、また、麻痺や病巣、合併症等の医療用語について、専門用語に苦戦しながらも、みんなで助け合いながら、また、確認しながら、何度もチャレンジしていました。

 講座の締めくくりとして、各講師及び1回目の講師と全体のコーディネートをしてくれた静岡県立大学の濱井妙子先生からもアドバイスをいただきました。
 今年度から新しく加わった受講者も多く、通訳者全体のレベルがあがってきたこと、通訳は準備から始まること、学び続ける必要性があること、自分の独自の方法を身に付けて自信を持って人の支えになっていってほしいという期待、今回のような研修会等でお互いに励まし合い、共に向上することにより、静岡県の多文化共生に貢献していってほしいとお話がありました。
 フィリピン出身の看護師として活躍している受講者からも、医療通訳の機会を増やし、病院が、医療通訳の必要性を認識いただけるように取り組んでほしいと要望がありました。
 医療通訳者の皆さんが活躍することにより、外国人と医療従事者双方が、安心で安全な環境の下で医療が受けられる環境を整えることに尽力できればと思います。