学生団体YECの活動とスウェーデン視察

2016年03月15日

YECとは?

静岡県立大学内に、同大学の学生を中心とし、静大、常葉大の学生そして高校生が参加するYEC(Youth Empowerment Committee 若者エンパワメント委員会)というサークルがあります。このサークルの活動は若者の社会参画を活性化し、若者が社会に影響力を持つことを目指して2009年4月に設立されました。毎年遠くスウェーデンにまで視察に出かけ、そこで学んだことを社会に発信しようとしています。代表の荒木将英さんにお聞きしました。

スウェーデンの教育になぜ興味を持ったのですか?

日本では放課後は部活動が盛んであり、半強制的になっている印象が強いですが、一方スウェーデンでは部活動がなくて大半の中高生が午後3時~4時に放課後となり、思い思いの時間を過ごしているのが素敵であった。
それに日本では若者は支援、保護の対象いわば〝弱者″のような扱いをされているけれど、スウェーデンではもっとポジティブに若者は社会の資源であり、ともに社会のパートナーであるという考えが根強いです。

スウェーデンの教科書のどの点がよいと思われたのですか?

日本の教科書は、〝暗記″を目的とした教科書になっていると思います。一方、スウェーデンの教科書は中高生が社会に出ていく中で知っておくべきこと、必要な知識を伝える教科書になっていることや、その教科書を通して生徒に考えさせることができる点です。
私たちが参考にしているスウェーデンの教科書は「あなた自身の社会」(川上邦夫訳)です。13歳から増える法律的権利と義務、消費者としての基礎知識、コミュニティの行政と住民の役割、社会保障制度などがエピソードを通して解説されていて、いじめ、恋愛、セックス、結婚、という人間関係を取り上げ、さらに暴力と犯罪、アルコールと麻薬、男女間の不平等、社会的弱者の存在が紹介され、多様性をテーマに「いろいろな人がいる。どう思いますか?」と考えさせています。

自分たちで作った教科書で中高生にスウェーデン風の授業を体験させるという活動をしていますね。

その教科書が彼らにとっての「社会の手引き」になることを目指しています。今知っておくべき事柄、近い将来に必要となってくる事柄を教科書の中に盛り込み、伝えていきたい。またみんなで考え、話し合うという時間を大切にしてほしいです。生徒が自分たちで授業を進め、自分たちが発言する、こういう時間は民主主義に通じることだと思います。

他の会員の方に、スウェーデン視察の印象をお聞きしたいのですが。

鈴木直久さん 「国連子供の権利条約を守るのは当然という意識が根付いているので、政治家が未来の社会を担う若者の意見を聞こうという姿勢を当たり前に感じている。また、若者の社会への関心が、日本の同世代より強い。」
横葉美菜さん 「いじめの問題と取り組んでいる団体が印象的でした。大人だけでなく生徒たちが、学校の運営者、教師等に加わり、この3者が共に議論して予防策を考えていくシステムでした。」
大野彩佳さん 「ユースセンターです。そこでは放課後や空き時間に子供たちがやりたいことがあると、相談にのり実現に向けてサポートしてくれます。他校の人や年上、年下の人たちとのかかわりがあり、学校以外の自分の居場所がある。学校を楽しめない子供たちもこういう場所に来れば何とかなるのではないでしょうか。」

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写真は、上から、いじめ問題に取り組む団体の様子、ユースセンター外観、YECのみなさん、です。

これからのYECの方向は?

YECの具体的な活動は3つあり、若者へのアプローチ(中高校生のやりたいことを応援する)・社会へのアプローチ(若者を育む社会に対して、講演会事業をする)・その他(若者政策の先進国への視察を行う)です。 この中でスウェーデンの教科書に注目し、その優れた点を参考にしながら自分たちの教科書作りを始めた活動があります。
社会の大人に対して、こんなに若者ができるのだと、見て、理解して、認めてもらいたい。目下、講演会開催を予定しています。

関連情報

  • YECは「アース(明日)カレッジ2015」の講座「フィーカ!~北欧の文化を体験しよう~」で“センセイ”として参加してくれました。
    リンク:アース(明日)カレッジ2015

 

記:編集ボランティア 川島 康子