~多文化共生を考える焼津市民の会 ”いちご” ~ 

2018年08月31日

「いちご」とは

静岡県内には外国にルーツを持つ子どもたちの学習・日本語支援を行っている多くのボランティア団体がありますが、その中の一つ「多文化共生を考える焼津市民の会 "いちご"」の様子を見学させていただきました。「いちご」では長期休みごとに開催する終日イベントの「しゅくだいひろば」と、毎週土曜日の午前中に開催する「放課後ひろば」を行っています。

8月11日土曜日 焼津市利右エ門コミュニティ防災センターにて

この日は子どもたちが7名、支援者として中高生から社会人まで様々な年代の10名近くが参加していました。夏休みということで子どもたちの参加が少ないですが、多いときには20名近くの参加者もあるそうです。
この地区には日系フィリピン人が多く居住し、父親たちは水産加工や自動車部品、母親たちは水産加工やコンビニのお弁当工場に勤めている方が多いとのこと。朝早くから、夜遅くまで、また土曜日も仕事で、子どもたちは、家族と一緒に過ごす時間が限られているようです。
教室が始まると、まずは新聞紙の中から "たちつてと"など、指定されたひらがなを探すゲームに取り組みます。子どもたちをまずは「机に向かわせる」儀式です。その後、学年やその子の日本語レベルに合わせて、学校の宿題をしたり、ひらがなの勉強をしたりと個々対応していきます。低学年の子は集中力が続かないため、手を変え品を変え、飽きさせないようにと工夫をこらしています。

「いちご」に関わる方々から

社会人ボランティアの方に、なぜこの活動に関わっているのか聞いてみました。「仕事ではパソコン作業が多く、ここに来ると子どもの笑顔で自分のストレスが発散される。子どもだけでなく、自分たちも癒されているのかもしれない。」「毎週わずかな時間だが、お互いの顔を見て、元気を確認しあうのは、共に生きる原点ではないかと思っている。」

会の代表を務める谷澤さんは、「会を立ち上げたときは参加児童もボランティアも数人だったが、徐々に双方の参加者が増え、活動を続けられている。」「自分の願いは、会を大きくすることではなく、集住地区それぞれにグループができていくこと。地域によって問題点は様々なので、小回りが利いたほうが、問題解決も早いと思う。」と話してくれました。
また悩みとしては、「週1回の指導では、やれることに限界があること。日本語の習得や、学校に通うことさえ諦めてしまう子供がいること。自分たちの力不足をいつも感じている。」とのことでした。

今後、日本の労働力不足を外国から来た人々に頼っていかざるをえませんが、子どもたちの学習や成長を支える体制はこのままで十分なのでしょうか。彼らも、そして日本人も、ともに成長していける方法があるのではないかと、考えさせられる活動でした。

記:編集ボランティア 邑松 享子

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