訪日外国人観光客4000万人時代

2017年05月29日

静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合からの報告

激増する外国人観光客の現状と県内ホテル・旅館の対応を調査しまとめた「笑顔でもてなす外国人宿泊客向け宿づくり」の内容を報告します。

訪日外国人観光客の増加

訪日外国人観光客が増加しています。2012-2016年の5年間で外国人観光客数は3倍になり、2400万人を超えました。
2400万人に達した外国人観光客の7割をアジア諸国からの観光客が占め、その増加の勢いが外国人観光客総数を押し上げたのですが、その他の国からの外国人観光客数が押し並べて増加していますから、「訪日観光の魅力が高まり世界に広がっている」と言って良いのではと思います。
 静岡県も2012-2015年までの4年間に、外国人延べ宿泊者数が3倍、176万人になりました。あまりの急激な増加に、県内の旅館・ホテルは受け入れに苦労しながらも、ラグビーワールドカップ、東京オリンピックを経て、2020年には4000万人に増加すると期待される外国人観光客への対応を積極的に進めています。
 外国人観光客の激増の主役は、中国(499万人2015年)、韓国(400万人)、台湾(367万人)、香港(152万人)などアジアの国々ですが、中でも中国からの観光客は2015年倍増するとともに、“爆買い”と呼ばれた旺盛な購買力を見せて関係者を驚かせました。
ただ、初めての海外旅行で国際観光マナーを良く知らない、地方都市からの団体旅行が中心、観光よりも爆買いが旅行の目的など固有の事情から、受け入れ側の混乱やトラブルの主役にもなったようです。一方、ホテル・旅館からは、各国からの個人やグループ、家族連れの観光客が増えたとの報告があります。彼らはInternetを介し日本の観光情報を良く調べていて、ただ単に名所旧跡を訪ねショッピングに走るのではなく、旅館や日本料理、お祭りやアニメ、清潔で安全な町並みなど、deepな日本を楽しみたいと日本に来るそうです。

県内ホテルの取り組み

このような観光客の増加に対応するために、和室の使い方・お風呂の入り方・和食の楽しみ方を母国語で説明するスタッフや多言語資料を用意し、市内散策を助けるマップやWi-Fiの整備などが必要だと関係者は提案しています。
県内ホテル・旅館は、この5年間、激増する外国人観光客への対応に追われましたが、今後は観光客数の更なる増加とともに、日本旅行に求める期待の変化にも対応する必要があります。
日本旅行の魅力の広がりに伴い外国人観光客への応接はますます多様化すること、より細やかな日本のおもてなしを期待する個人やグループのリピーターが増加していること、見ること・買うことから体験型旅行が主流となってきていることなどの大きな変化は、地方都市がこれからの外国人観光客を迎える主役となる可能性を広げるものと期待できます。このために、ホテルや旅館の努力だけでなく、市町や市民と一体となった対応が必要だと思います。
美しい自然、安全に自由に散策できる街、美味しい食事を求めて、世界から観光客が日本を訪れます。すべてを備えた静岡へ、市町や市民、ホテルや旅館など関係者が一体となって、“笑顔でお迎えしたい”と思います。

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               記: 平成28年度ホテル旅館多文化対応推進事業WG委員 杉山滋敏