静岡県の地域日本語教育に関する事業報告

2021年02月25日

日本語指導者養成講座

対話交流型の初期日本語教室を開催するために、教室で活動する日本語指導者等の養成を行っています。
令和2年度は、モデル市の磐田市と菊川市において、2市合同で全7回の講座を9月~12月にかけて実施しました。

第1回 初期日本語教室の考え方 対話活動と教材理解

9月4日(金) 菊川市町部地区センター 受講者23名

講師

  • 東海日本語ネットワーク 副代表 米勢治子 氏
  • 静岡県多文化共生課 班長 和田路也

県の方針と施策の説明の後、地域日本語教室の特徴、あり方、なぜ「対話」と「協働」なのかについて学び、初期日本語教室の基本となる考え方と方法(=対話活動)について、行政担当者、地域日本語教育コーディネーター、日本語指導者、学習支援者(ボランティア)間で共通の認識を得ることができました。

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第2回 日本語能力判定のテスター養成講座

9月11日(金) 菊川市町部地区センター 受講者27名

講師

  • 愛知県あいち地域日本語教育推進センター
  • 総括コーディネーター 千葉月香 氏
  • 東海日本語ネットワーク 副代表 米勢治子 氏

学習者の日本語レベルを測るため、とよた日本語学習支援システム「とよた日本語能力判定」の理念と手法を学びました。受講者がペアになり、自然なやりとりを意識しながら相手の発話や聞き取りの能力をチェックするインタビュータスクをやってみました。判定テストは、初期日本語教室の初回に対象者判定を行うだけでなく、教室の途中や最終回にも実施して、学習者のやる気につなげたり、日本語教室の運営や活動の見直しに活かしたりします。

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第3回 学びを促進するファシリテーション講座

9月17日(木) 磐田市役所 受講者15名

講師

  • 鈴木まり子ファシリテーター事務所 鈴木まり子 氏

対話活動におけるファシリテーションについて、ファシリテーションの基本的なスキルと共に、一人ひとりを大切にし、多様性を尊重する考え方や、教室の主役は学習者であり、「指導する、教える」ではなく「引き出す、待つ、耳を傾ける」といった姿勢について、実践を通じて学びました。

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第4回 活動計画を立てる

9月24日(木) 磐田市役所 受講者18名

講師

  • 地域日本語教育総括コーディネーター 鈴木ゆみ

教室の開設に向け、磐田市チームと菊川市チームに分かれて、各市に配置された地域日本語教育コーディネーターを中心に、全体カリキュラムを考えたり、活動進行表を基に教室活動の流れを確認したりしました。

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第5回 初期日本語教室での実践のふりかえり

11月26日(木) 袋井市教育会館 受講者16名

講師

  • 地域日本語教育総括コーディネーター 鈴木ゆみ

10月25日から磐田市、11月1日から菊川市でモデル初期日本語教室がスタート。教室を4回実施したところで、教室活動のふりかえりをしました。各市の実践報告を行い、互いに改善のヒントを得ることができました。また、教室における自分の役割を再確認し、役割を果たすために心掛けたいことや取り組みたいアイデア・工夫を考えました。

 

第6回 オンラインでの対話活動

12月10日(木) ワークピア磐田 受講者13名

講師

  • 地域日本語教育総括コーディネーター 鈴木ゆみ

Zoomを使ったオンラインでの対話活動を学びました。Zoomの基本的な操作を実際にやってみた後、オンラインの特徴と必要性について意見交換をしました。更に、磐田市で実践している、オンラインと対面を同時進行するハイブリッド型の日本語教室の取り組みを紹介し、オンラインでの対話活動の工夫やお役立ち情報を学び、今後の可能性を広げました。

 

第7回 まとめ

12月17日(木)  袋井市教育会館 受講者15名

講師

  • 地域日本語教育総括コーディネーター 鈴木ゆみ

これまでの講座を復習した後、各市チームごとに運営中の初期日本語教室をふりかえり、次年度へ向けて、課題解決のアイデアを出し合いました。受講者からは、「とにかく笑顔で、教える・教えてもらう関係ではなく、友人の関係で、学習者さんに合わせた引っ張り出す方法を心掛けたいと再認識しました。」「改めて全7回をふりかえることで、自分自身の成長、教室が出来上がっていく過程を感じることができました。」などの感想がありました。

 

 

地域日本語教育推進セミナー

県内の市町、市町の国際交流協会はじめ日本語教育関係者に「静岡県地域日本語教育推進方針」への理解を促進することを目的に、セミナーを開催しています。
令和2年度は、市町の多文化共生担当課長や日本語教育実施機関の責任者を対象とし、県内全域へ対話交流型の初期日本語教室を広める機運となることを目指して開催しました。県内26市町の担当課長等、及び日本語教室を主催する国際交流協会等7団体の参加がありました。

令和2年度 静岡県における地域日本語教育推進セミナー  ― 静岡県における地域日本語教育体制の構築のために―

令和3年1月28日(木)午後1時30分~午後4時30分 オンライン開催

国の日本語教育の取組について

文化庁国語課地域日本語教育推進室専門職 北村祐人 氏

静岡県地域日本語教育推進方針・地域日本語教育体制構築事業について

静岡県くらし・環境部県民生活局多文化共生課班長 和田路也

対話交流型の初期日本語教室に取組むために

静岡県地域日本語教育総括コーディネーター 鈴木ゆみ

令和2年度「モデル日本語教室」実践報告

  1. 磐田市はじめての日本語教室<集住地域における地域住民参加型の事例として>
    磐田市地域づくり応援課 主査 村井智和 氏
  2. 菊川市はじめての日本語教室<市の多文化共生施策、地域の各種団体と連携した事例として> 
    菊川市地域支援課 主事 松下愛理 氏

意見交換会

表紙

 

表紙

 

日本語学習教材作成委員会

県内の市町に対話交流型の「生活者としての外国人のための初期日本語教室」を広めていくため、日本語学習教材作成委員会を設け、その日本語教室で使用する日本語学習教材を検討・作成しました。

委員

足立 進一郎 / 磐田市地域日本語教育コーディネーター
高山 晃 / 菊川市モデル初期日本語教室 指導者
松下 愛理 / 菊川市地域支援課市民協働係 主事・地域日本語教育コーディネーター
村上 加苗 / Webデザイナー・(公財)静岡県国際交流協会 ホームページ担当
米勢 治子 / 東海日本語ネットワーク 副代表
和田 路也 / 静岡県多文化共生課 班長
袖山 菜津子 / 静岡県多文化共生課 主査
鈴木 ゆみ  / (公財)静岡県国際交流協会・地域日本語教育総括コーディネーター
(敬称略)

開催日時 協議内容
第1回 7月31日 午後2時00分~4時00分 構成、執筆担当、スケジュール、意見交換
第2回 12月24日 午後2時00分~4時00分 進捗確認、情報共有、全体調整
第3回 2月15日 午後2時00分~4時00分 成果と課題、教材活用促進

 愛知県の『地域における初期日本語教育モデル事業「はじめての日本語教室」』及び『指導者のための教材活用マニュアル』を基に、修正・追加を行い静岡県版として再編集しました。

静岡県対話交流型初期日本語教材「はじめまして!日本語」

 

日本語学習教材

 

指導者用マニュアル

表紙

 

表紙

静岡県対話交流型初期日本語教材「はじめまして!日本語」

 

 

モデル日本語教室

静岡県は、初期の日本語レベル(最低限のコミュニケーションも日本語で行うことが困難な日本語レベル)の外国人県民が、生活に必要な最低限の日本語を身につけられることと、その過程に、支援者として地域の日本人県民が関わることで、相互理解を進め、地域における多文化共生社会の形成を促進することを目標に、令和2年度から毎年度県内2市町程度で対話交流型の「生活者としての外国人のための初期日本語教室」を開催しています。

令和2年度

磐田市

菊川市