日本語クラスの開催

2022年07月13日

静岡県立浜松北高校(浜松市)

日本社会で自立した生活を送るために必要な日本語能力を養うことを目的とする日本語クラスを静岡県立浜松北高校(浜松市)及び私立誠恵高校(沼津市)で実施しました。日頃の授業理解に困難を抱える生徒や、日本語能力試験の受験を希望する生徒たちが参加しました。

浜松北高定時制でバイリンガル支援員と共に日本語クラスを担当して半年。先日、12月に実施された日本語能力試験(JLPT)の結果発表があり、N3を受験した4名の生徒全員が合格し、まずはほっとしているところです。

当初、日本語クラスの内容として試験対策のことだけを考えていましたが、生徒たちが受験するまでにはいくつものハードルがありました。申し込み、受験料の用意・振込、会場までの交通手段など、各段階でサポートが必要でした。高校卒業後、社会に出る彼らにとって、JLPTは日本語の試験であるだけでなく、タスクで学ぶ機会でもあることに気づかされました。

日本語クラスは、定時制の授業が始まる前のゼロ時間目に実施しています。主にJLPTの読解対策と漢字練習をしています。ほとんどの生徒はアルバイトをしており、出席は生徒の自主性に任せているため、来る時間も出席メンバーも定まらないのが実情です。また、「自分は困っていない」と感じているのか、そもそも日本語クラスに足を向けない生徒がほとんどです。どんな支援をすれば生徒が「出席したい」と思うのか、まだ生徒のニーズをつかみきれないでいます。

生徒たちは、国語の課題に困ると日本語クラスに持ち込みます。作文や俳句作りなど、すべてを自分で仕上げるのは難しいですが、少し助言をすればなんとか進めることができます。このような足場掛けこそ必要な支援だと感じますが、継続的な支援として何ができるのか悩むところです。

高校生支援は、まだ手探り状態です。生徒自身がニーズに気づいていないように感じられます。学校の先生にもお話を伺いながら、日本語指導者としてできることを考えていきたいと思っています。

にほんごNPO 岡田理江

令和3年9月7日~令和4年2月22日 全19回

 

 

私立誠恵高校(沼津市)

2021年9月から週1回、1時間という非常に限られた短い時間ではありましたが、誠恵高校での日本語レッスンは、生徒をはじめ、高校の先生方、日本語を教える私たちにとっても非常に実りのあるものになったと思います。

実際に授業を担当していた私が最も印象に残っているのは、このクラスを始める前、私たちが初めて誠恵高校を訪れ、同校に在籍する海外ルーツのある生徒たちを集めて「日本語を勉強、練習するクラスを始めますよ」という説明会を行った際のことです。そのとき同席していた同校の先生が、説明会が終わったあとに「(生徒のひとりの)Aさんがとても楽しそうにしていた。彼女があんなふうに笑っている顔はめったに見られない」と語っていたことです。

クラスが始まってからも、嬉しい変化がありました。はじめのうちは、こちらから声をかけないと「わからない」という意思表示をしない生徒たちが多かったのですが、回数を重ねると、控えめに手を上げたり視線を送ったりして、漢字の読み方や言葉の意味を質問することが増えてきたのです。普段教室ではしづらい「質問する」ということが、日本語レッスンの時間ならできる。一緒に支援してくださった高校の先生方のお力添えもあり、生徒たちがこのような気持ちで参加できていたのだと感じています。

海外にルーツを持ち、日本での学習や生活で困難に直面している子どもたちが週1回、ほんのちょっとの時間でも楽しく過ごせる時間を提供できたのであれば、我々としても国際社会の一助になったのではないかと感じています。

Grandeur Global Academy沼津校
渡辺寛成、藪下千尋

令和3年9月8日~ 令和4年2月16日 全16回