当協会では静岡県立浜松北高校定時制課程(浜松市)、学校法人誠恵高校(沼津市)で日本語教室を開催しています。任意参加の週1回1時間という限られた時間ですが、継続的に出席していた生徒は確実に日本語力が向上しました。また、日本語教室では生徒同士が母語で話したり、日本語教師に日々の生活やアルバイトのこと、家庭のこと、将来のこと等にかかる不安や出来事を打ち明けたりする姿が見られ、生徒たちの居場所にもなっています。日本語教室を担当する各校の日本語教師から令和7年度の様子についてご報告いただきました。
毎回の日本語教室では、生徒の日本語力に合わせて、やさしいことばニュースと、その元になったニュースをリライトした読解プリントを用意しています。
1年生の時から日本語教室に参加していた生徒も、3年生になる頃にはだんだんと足が遠のきます。それでも、時々ふらっとプリントだけ取りに来室することがあります。プリントを持って行ったからと言って、必ず読んでいるというわけでもなさそうです。その様子を見ていると、日本語教室は居場所としての機能が大きいのかなと思います。緩くつながっているからこそ、困りごとを抱えたときになんとなく相談できる場になれるような気がしています。
令和7年度の大きな成果は、企業見学を実施できたことです。全ての外国につながる生徒を対象にしていましたが、申し込みをしたのは日本語教室に参加している生徒だけでした。日頃、進路についての具体的な考えを聞かれる機会がよくあるかどうかで、意識の違いが出ているのかもしれません。
参加した生徒たちは熱心に話を聞いていましたが、メモを取らずに聞く生徒もいて、就活が始まる前までに最低限のマナーを指導しておく必要性を感じました。文化の違いによるものとも考えられるため、そういう細かい部分こそ、支援が必要なところだと思います。
日本語教室を実施してきた中で、最も必要だと感じているのが進路支援です。学校では、様々な進路指導を受ける機会がありますが、外国人生徒にその内容をしっかり受け止めるだけの背景知識があるだろうかと気になっています。今回の企業見学をふまえ、進路支援には学校との連携が欠かせないとの思いを強くしました。
にほんごNPO 岡田理江

令和7年度もフィリピン、パキスタン、エルサルバドル、ブラジル、スリランカ、ネパール、中国、ペルーなど、多様なルーツを持つ生徒たちが日本語クラスに参加しました。
授業の主軸として設定したテーマは「JLPTを知り、挑戦すること」です。進路においてJLPT取得がいかに重要であるかを生徒たちとともに話し合い、その意義を共有するところから授業をスタートしました。前期は、JLPTに初めて挑戦する生徒が大半であったことから、特に読解問題を中心に、キーワードをもとに限られた時間内で文章を読み解く解法の指導に力を入れました。夏には3日間のJLPT集中講座を計画しましたが、生徒への働きかけが十分でなく、実施できたのは1日にとどまりました。この点は今後の課題として捉えています。
後期も引き続きJLPTの演習を継続しましたが、8月の申し込み期限に際し、実際に申し込んだ生徒が2名にとどまったことを受け、授業の方向性を一部見直しました。実生活に関わるトピックや時事問題を題材にした読解活動を取り入れることで、生徒の興味・関心を引きつけながら学習を進めました。また、授業の中で定期試験への不安を抱える生徒の様子が見えてきた際には、柔軟に内容を切り替え、各教科で必要とされる日本語表現のサポートも行いました。
授業全体を通じて強く感じたのは、熱心に参加してくれた生徒の多くが、日本語そのものに困っているというよりも、日本語教室という場を「居場所」として捉えているということです。友人と顔を合わせ、話せる場所として集まってくれる姿に、このクラスがひとつの意義ある空間となっていることを実感しました。
今後は、試験対策にとどまらず、教科の日本語・生活の日本語といった幅広いニーズに耳を傾け、生徒が学校生活の中で困ったことを気軽に話せる居場所として、引き続きサポートを続けてまいります。
Grandeur Global Academy沼津校 大石 舞
