日本国際連合協会 静岡県本部

第55回 「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール」受賞作品

静岡県大会 日本国際連合協会静岡県本部長賞

中央大会 日本ユネスコ国内委員会会長賞

「国際識字の10年 すべ手の人に教育を!」
静岡サレジオ高等学校 2年 成瀬眞澄 さん

高校生の主張コンクール 中央大会風景
平成20年11月25日(火)  国連大学 
エリザベス・ローズ国際会議場にて
  『学用品が市場で売られていた……。「教育を受けることは大切だ」と思い、子どもたちに贈ったのに、翌日、学用品が市場で売られていた……。』
 私は、東京で行われた国際ボランティアのワークショップに参加しました。そこで、シャプラニールというNGOのスタッフの方に、この援助物資が売られていた話をうかがいました。勉強することができるように、学用品を寄付したのに、子どもたちが本当に必要としていた援助ではなかったのです。役立つだろうという一方的な思い込みで、援助を行ってはならないのです。
 私も昨年の夏、フィリピンに行き、子どもたちを支援する活動を行っていました。私は悩みました。「服をおくってあげた」「募金をしてあげた」。この「何々してあげた」という言葉の裏には、「自分は援助をしたという勝手な達成感があるのではないか?」と。考えても、考えても、その答えは見つかりません。そして、その思いを抱え、この夏、再びフィリピンへ行ったのです。
 ネグロス島では、私たちが支援している7人の子どもが、職業訓練学校に通っています。そして、技術を習得するために勉強に励んでいます。今年、私は就学支援募金を贈る瞬間に立ち会いました。私たちが支援をしている女の子は、学校に通うことができる奨学金を受け取り、私の手を取って微笑みながらThank youと言ってくれました。その時の手のぬくもり……。今もしっかりと覚えています。去年行った時に、まだ生徒だった女の子は、今年テクニカルセンターを卒業し、しっかりと職に就いていました。スーツを着て「私、今から仕事に行くんだ!」と話してくれました。今は、7人の支援しかできていませんが、私たちの活動の意味を確認できた体験でした。
  首都マニラでは、学校に通うことができないストリート・チルドレンとの出合いもありました。彼らと出会ったのは、私たちが宿泊した学校です。そこでは、生徒が帰った夕方になるとストリート・チルドレンを集め、食べ物を支援していました。昼間は生きるために路上で働く彼らに、勉強する場を持たせ、その後で食事をさせているのです。そこでの私たちの主な活動は、学校の中で彼らと交流することでした。
 「私たちの活動は意味があるのか?本当に役に立っているのか」その疑問を、現地で活動している方に聞いてみました。その方は私の質問をとても穏やかな表情で聞き、次のように答えてくれました。「子どもたちは、遠い日本に、自分たちのことを気にかけてくれる人がいることを、ちゃんと知っていますよ。そして、それを、生きる力としていますよ。」と。
 今年、フィリピンの大学生をホストファミリーとして受け入れました。この体験をきっかけにフィリピンの教育事情を調べてみました。フィリピンで大学に行くのは裕福な家庭の子だそうです。一方、就学率は小学校、96パーセント・中学校、65パーセントなのですが、卒業率はそれぞれ68パーセント・50パーセントと、とても低いそうです。貧困によって小学校・中学校を途中でやめれば、安定した職業に就くことができません。そして、貧困からさらに抜け出すことができなくなるのです。
 しかし、一人でも多くの子どもを学校に通わせたいと望んでも、小さな私たちの活動には限界があります。そんなことを考えているとき、ユネスコが行っている「世界寺子屋運動」を知りました。この活動は、現地のNGOと連携して、本当に必要な援助が行われています。貧困が世界の深刻な問題になっている今こそ、この「世界寺子屋運動」が多くの人に広がるべきです。教育支援活動こそ、貧困解消に本当に役立つ活動なのですから。

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