ムスリム観光客は「日本旅館」に泊まりたい!?

2016年01月23日

ムスリムの皆さんから訪日観光への期待

ハラール*の食材は?調理法は?お祈りのためにはどんな場所を用意すればよいの?旅館やホテル担当者のこんな疑問に答えて、ムスリム(「イスラム教徒」のこと)訪日観光客を誘客しようとする静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合の調査・検討が、静岡県の委託を受けて行われています。インドネシア、日本、マレーシアのムスリムの皆さん4名が、調査・検討ワーキンググループに参加していますので、ムスリムの皆さんから訪日観光への期待を伺いました。

ハラール:料理には豚肉を使わない、礼拝前には手足を清めるなど、イスラム法の戒律に従ったものの事

「日本観光はとても人気があります」「東京、大阪、京都、奈良、富士山は皆知っているし、そして雪も見てみたい」「日本食も楽しみ」と日本観光は評判が高いようです。

「インドネシアでは日本観光の情報はほとんど手に入りません」「美しい自然や伝統的な旅館、おいしい日本食の情報も必要ですが、ムスリムを受け入れてくれる宿なのかという情報は本当に必要です」「それとSNS(Facebook、LINE等)が有効だと思います。国内外のムスリムがSNSで結ばれているので、魅力のある情報であれば、『あっ』という間に広まりますよ」といいます。

個人が魅力ある情報を作成し、信頼できる人から人へのネットワークを介して情報が流れるSNSはこれからの有力な広報手段です。小規模旅館やホテルにも対応可能な広報ツールですが、肝心なことがあります。ムスリムに向けた観光情報の発信について言えば、その宿に宿泊したムスリムつまり情報作成者が、「ここはムスリムのためのサービスが充実していて過ごしやすい宿だ」と実感することが必要なのだと思います。

「ハラールに即した完璧な食事や、立派な祈りの場所を求めているのではありません」、「宗教と一体となった生活をおくるムスリムにとって重要なハラールの基本を理解してほしい」、「そして、その宿が提供できるハラールに即したサービスの内容やできないことを積極的に情報提供してほしいのです」「そうした情報提供により、ムスリム個々人にとって選択の幅が広く安心して宿泊できるサービスの充実した宿だとの評価を受けるようになるのでしょう」といいます。

「ムスリム観光客は家族や友人とともに旅行することが多いのです。4~5名が和室で一緒に食事を楽しみ、布団を並べて夜を過ごす日本旅館は本当に素晴らしい。泊まってみたい」「家族や友人だけだったら、きれいな温泉が流れる憧れの家族風呂に入れるかもしれない。少し恥ずかしいけれど」と、ムスリムを受け入れる旅館を探しています。

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記:編集ボランティア 杉山滋敏